労働保険料はどうやって決まる?
2015年05月07日
今回は労働保険料の年度更新手続きについてご説明したいと思います。
年度更新手続きに関する書類は毎年6月1日までに事業主宛てに送付されます。手続きを行う期間は、毎年6月1日から7月10日までとなっています。
労働保険料の年度更新とは
労働保険の保険料は、毎年4月1日から次の年の3月31日までの1年間を単位として計算されます。
保険料の額は、原則として使用されるすべての労働者の賃金総額に、その事業で定められた保険料率を乗じて算出されますが、まず年度の当初に概算で保険料を納付して、年度末に賃金総額が確定したところで精算をすることになります。
この新年度の概算保険料を納付するための申告・納付と前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付の手続きを年度更新といいます。
また、石綿健康被害救済法に基づく一般拠出金も労働保険料と併せて申告・納付します。
賃金総額とは
労働保険料額の算出の基礎となる賃金総額とは、事業主がその事業に使用する労働者に対して賃金、手当、賞与、その他名称のいかんを問わず労働の対償として支払うすべてのものを指します。
また、保険料算定期間中に支払いが確定した賃金は、算定期間中に支払われなくても算入されます。
保険料率について
平成27年度からの労災保険率について、全54業種平均で1000分の4.7となり、1000分の0.1引き下げられます。全業種中、引き下げとなるのが「建築事業」など23業種、引き上げとなるのが「木材又は木製品製造業」など8業種となっています。
そこで、平成26年度の確定保険料の算出には改定前の保険料率を使用し、平成27年度の概算保険料の算出には改定後の保険料率を使用することになります。
なお、平成27年度の雇用保険料率は、平成26年度の料率を据え置き以下のとおりです。
事業の種類 | 雇用保険料率 | 事業主負担 | 労働者負担 |
一般の事業 | 13.5/1000 | 8.5/1000 | 5/1000 |
農林水産、清酒製造の事業 | 15.5/1000 | 9.5/1000 | 6/1000 |
建設の事業 | 16.5/1000 | 10.5/1000 | 6/1000 |
消費税率の引上げに伴う労務費率の暫定措置について
平成26年4月1日から平成27年3月31日までの間に終了した工事等について暫定措置が適用されます。
請負による建設の事業であって、保険料の額の算定に際して、請負金額に労務費率を乗じて得た額を賃金総額とするものについては、賃金総額の算定にあたっては請負金額に108分の105を乗じて得た額に所定の労務費率を乗じます。
その他のチェックポイント
<出向者について>
出向者を受け入れている場合には、出向元が出向者へ賃金を支払っていたとしても、出向先(自社)の労災保険の賃金総額に含めて計算します。
反対に、自社から出向している労働者については、自社がその労働者へ賃金を支払っていても、出向先の労災保険の賃金総額に含めて計算します。
尚、出向者の雇用保険については、賃金を支払っている会社で被保険者となり、保険料を負担することになります。
<雇用保険料の免除対象高年齢労働者について>
雇用保険では、被保険者で保険年度の初日となる4月1日において満64歳以上の労働者を「免除対象高年齢労働者」として保険料が免除されます。
平成26年度の確定保険料が免除になるのは昭和25年4月1日までに生まれた人、平成27年度の概算保険料が免除になるのは昭和26年4月1日までに生まれた人です。
年度更新手続きの際には、免除対象高年齢労働者へ支払った賃金をきちんと申告書へ記載するように注意しましょう。
労働保険料の年度更新手続きの時期は、社会保険の算定基礎届の提出時期とも重なっています。
また、期日までに手続きをしないと、政府が保険料・拠出金を決定し、さらに追徴金(保険料・拠出金の10%)が課されることがありますので、手続きの期限間際で慌てることのないように早めに準備を進められることをお勧めいたします。