算定基礎届の提出をお忘れなく

2015年06月01日

今年も早いものでもう6月です。
そろそろ社会保険に加入されている事業所には、標準報酬月額の定時決定のための算定基礎届が送付される頃です。算定基礎届を提出する期間は、毎年7月1日から7月10日までです。
今回はこの定時決定と算定基礎届について簡単にポイントをご説明いたします。

 

定時決定とは

社会保険の標準報酬月額は、被保険者の実際の報酬と大きな差が出ないように、毎年9月に決め直しされます。これを定時決定といい、4月、5月、6月に支払った報酬を算定基礎届に記入し、年金事務所等の保険者へ提出します。

 

定時決定の対象となる被保険者は

定時決定の対象となるのは7月1日現在の社会保険の被保険者全員です。
ただし、今年の6月1日以降に被保険者になった人は、資格取得時決定で来年8月までの標準報酬月額が決定しているため、今年の定時決定では対象外となりますので注意が必要です。

 

標準報酬月額の対象となる報酬に該当するものとは

賃金、給与、手当、賞与(年4回以上のもの)等の名称を問わず、労働の対償として支給されるもの全てであり、金銭に限らず食事・食券や社宅・寮、衣服(勤務服でないもの)、通勤定期券等の現物で支給されるものも含まれます。この場合には、食事・住宅は都道府県ごとに定められた標準価額により、その他の衣服等は時価で、報酬額に算入します。
 
例えば→ 基本給、諸手当(残業手当、通勤手当、住宅手当、家族手当、役付手当、精勤手当等)、賞与(年4回以上支給されるもの)等

 

標準報酬月額の対象となる報酬に該当しないものとは

臨時に支給されるものや年3回以下の賞与(標準賞与額の対象となります)等は該当しません。
 
例えば→ 大入袋、見舞金、解雇予告手当、退職金、出張旅費、賞与(年3回以下のもの)等

 

支払基礎日数が17日未満の月があるとき

支払基礎日数とは、給与計算の対象となる日数のことです。4月、5月、6月に支払った報酬の支払基礎日数が17日未満の月については、計算の対象から除きます。
例えば、4月の支払基礎日数が17日未満であった場合は5月、6月だけで判断することになります。
ただし、有給取得日は支払基礎日数に含まれ、半日出勤は1日分の支払基礎日数としてカウントされます。

 

今年度の変更点は

今年度の変更点としては、算定基礎届の用紙サイズがB5版から、A4版に変更される予定です。なお、変更後も当分の間は、今までどおりのB5版の届書も使用できることになっています。
また、算定基礎届総括表に法人登記簿情報から確認できた会社法人等番号などの情報が記載されるようになりますので、記載された情報が間違っていないか確認する必要があります。

 

 

算定基礎届の提出の際に、数年に一度、定時決定時調査等の事業所調査が行われます。
定時決定時調査では、年金事務所等へ来所し、賃金台帳等の関係帳簿を提示して、これまでの手続きが正しく行われていたかどうか等の確認を受けます。
定時決定時調査の対象となった事業所には、その旨を通知する文書が届きます。その場合には算定基礎届等は郵送せずに、年金事務所等での調査の際に提出することになりますので注意しましょう。

横地冬美事務所 特定社会保険労務士・行政書士 横地冬美 執筆者紹介

横地冬美事務所 特定社会保険労務士・行政書士 横地冬美

2003年社会保険労務士、2004年行政書士登録。人事労務のエキスパートとして「正確・迅速・分かりやすく」をモットーに日々業務を行っています。
横地冬美事務所 http://yokochi-office.net

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