ビジネスは『ニッチ』で勝負
2015年10月13日
「ニッチ」という言葉をご存知ですか。
直訳すると「くぼみ」、一般的には「すきま」、と理解されていると思います。
創業塾や経営者セミナーなどでは、「ニッチ戦略」を中小企業がとるべき定石の経営戦略として紹介しています。
今回のコラムでは、ニッチに関してもう少し具体的に整理します。自社を振り返って、ご自身のビジネスはニッチが意識できているか、ご確認いただければと思います。
そもそも「ニッチ戦略」とは?
はじめに、少し堅い話ですが経営の教科書的にニッチを整理します。
アメリカのマーケティングの大家フィリップ・コトラーは、ニッチを「より小規模で特定化されたセグメント」と定義しています。言い換えると「顧客のニーズに応えるために、あえて小さな市場に製品やサービスを提供する」ということになるのでしょうか。
「競争の戦略」などでお馴染みのマイケル・ポーターは、競合他社との競争における基本戦略として、「コストリーダーシップ」、「差別化」、「集中」の3つを挙げています。
この3つの中で、特に、中小企業にとって有効な戦略は、「集中」と考えられます。
ポーターは、著書「競争と戦略」の中で、集中戦略を「特定の買手グループや、製品の種類や、特定の地域市場などへ、企業の資源を集中する戦略」と定義しています。言葉を読んでいただいてもお分かりの通り、先に紹介した「ニッチ戦略」と同義といえます。
「ニッチ」に関する誤解?
ニッチの言葉を解説しておいてなんですが、私自身、かつてニッチの意味を、「小さい」、「差別化」と捉えていました。言葉から受けるイメージや微妙なニュアンスから勘違いしやすいので、改めて整理します。
①「小さい」というと、市場のサイズが小さい=売上が小さい、と考えがちです。しかしながら、ニッチはただ単に小さい市場というのではなく、誰も気づかない、目を向けない市場に狙いを定め、付加価値で儲ける戦略です。
②「差別化」というと、ポーターの競争戦略の一つでもありますが、前述のとおり、「集中」に近いのがニッチです。差別化と集中の違いを一言で言うなら、「差別化は、リーダーと戦って同一の市場でのシェアを奪う戦略」ですが、「ニッチは、リーダーと戦わずに限られた市場で利益を上げて儲ける戦略」になります。