キャリアアップ助成金が改正されました!
2016年03月03日
前回のコラムでもお伝えしましたが、平成28年10月より一定の要件を満たす短時間労働者(パートタイマー)の社会保険への適用基準が拡大されることに伴い、政府は助成金の支給等の対策を進めています。
今回は、助成金の中から「キャリアアップ助成金」についてご説明いたしますので、ご活用されてはいかがでしょうか。
キャリアアップ助成金は以前よりある制度ですが、平成28年2月に改正があり支援が拡充されましたので改正後の内容でご説明いたします。
<キャリアアップ助成金とは?>
「キャリアアップ助成金」は、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップ等を促進するために、正規雇用への転換や人材育成、処遇改善などの取組を実施した事業主に対して助成金が支給される制度です。
<助成金のコース一覧(6コース)>
助 成 内 容 | 助 成 額
( )は中小企業以外の額 |
1 正規雇用等転換コース
有期契約労働者等を ・正規雇用等に転換 または ・直接雇用した場合
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①有期→正規:1人当たり60万円(45万円)
②有期→無期:1人当たり30万円(22.5万円) ③無期→正規:1人当たり30万円(22.5万円) ※派遣労働者を正規雇用で直接雇用する場合、 1人当たり30万円加算 ※母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合、 若者雇用促進法に基づく認定事業主が35歳未満の者を転換等した場合 いずれも1人当たり①10万円、②③5万円加算
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2 多様な正社員コース
有期契約労働者を ・多様な正社員に転換または 直接雇用等 多様な正社員を ・正規雇用労働者に転換 正規雇用労働者を ・短時間正社員に転換または 短時間正社員を新たに雇入れ |
①有期→多様な正社員(勤務地・職務限定・短時間正社員)
:1人当たり40万円(30万円) ②無期→多様な正社員 :1人当たり10万円(7.5万円) ③多様な正社員→正規 :1人当たり20万円(15万円) ④正規→短時間正社員、短時間正社員の新規雇入れ :1人当たり20万円(15万円) ※派遣労働者を多様な正社員で直接雇用する場合、 1人当たり15万円加算 ※母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合、 若者雇用促進法に基づく認定事業主が35歳未満の者を転換等した場合 いずれも1人当たり①~③5万円加算、④10万円加算 ※①②は、勤務地・職務限定正社員制度を新たに規定した場合、 1事業所当たり10万円(7.5万円加算)
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3 人材育成コース
有期契約労働者等に ・一般職業訓練(Off-JT) ・有期実習型訓練 (「ジョブ・カード」を活用したOff-JT+OJT) ・中長期的キャリア形成訓練 (専門的・実践的な教育訓練)(Off-JT) ・育児休業中訓練(Off-JT) を行った場合 |
Off-JT《1人当たり》
賃金助成:1時間当たり800円(500円) 経費助成: ・一般職業訓練、有期実習型訓練、 育児休業中訓練(育児休業中訓練は訓練経費助成のみ) 最大30万円(20万円) ・中長期的キャリア形成訓練 (有期実習型訓練後に正規雇用等に転換された場合) 最大50万円(30万円) ※実費を限度 OJT《1人当たり》 実施助成:1時間当たり800円(700円)
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4 処遇改善コース
すべてまたは一部の有期契約労働者等の 基本給の賃金テーブルを改定し、 2%以上増額させた場合 |
①すべての賃金テーブル改定
:1人当たり3万円(2万円) ②雇用形態別、職種別等の賃金テーブル改定 :1人当たり1.5万円(1万円) ※「職務評価」の手法の活用により実施した場合、 1事業所当たり20万円(15万円)加算
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5 健康管理コース
有期契約労働者等を対象とする 「法定外の健康診断制度」を 新たに規定し、4人以上実施した場合
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1事業所当たり40万円(30万円) |
6 短時間労働者の週所定労働時間延長コース
有期契約労働者等の 週所定労働時間を25時間未満から 30時間以上に延長した場合
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1人当たり10万円(7.5万円) |
- 改正後の支給額が改正前の支給額を下回る場合は、平成28年3月31日までの間、改正前の支給額が適用されます。
- すべてのコースにおいて、助成人数や助成額に上限があります。
<受給までの流れ>
助成金の活用に当たっては、事前に「キャリアアップ計画」(労働組合等の意見を聴いて作成)等を作成し、提出することが必要です。
◆人材育成コース(上記コース③)
<キャリアアップ計画の作成・提出> ⇒ <訓練計画届の作成・提出> ⇒ <訓練の実施> ⇒ <支給申請>
◆人材育成コース以外(上記コース①.②.④~⑥)
<キャリアアップ計画の作成・提出> ⇒ <取組の実施> ⇒ <支給申請>
今後、社会保険制度のセーフティーネット強化は拡大され、企業側の費用負担もますます増えることでしょう。したがって、企業側も上記のような様々な助成金を上手に活用するなど、費用負担の軽減を図るための工夫が必要になるかと思います。
また、以前お話しました「若者雇用促進法」や「女性活躍推進法」などでも若者や女性の雇用を支援するための様々な助成金が設けられています。
最近の様々な制度の制定・改正の流れから考えますと、現在、雇用や費用の見直しが求められ、今後の企業の在り方を考える時期に来ているのかも知れません。