ファシリティマネジメントってなんだ?
2014年11月17日
『ファシリティマネジメント(FM)』という言葉をご存知でしょうか。
そのまま直訳すれば、オフィスなどの施設を管理するという意味にとれます。わが国においてFMの普及定着活動を行っている日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)では、FMを「企業、団体等が保有又は使用する全施設資産及びそれらの利用環境を経営戦略的視点から総合的かつ統括的に企画、管理、活用する経営活動」と定義しています。
FMは、1970年代後半に米国で生まれた概念です。長年の景気低迷を背景に、コスト改善の打開策として研究された施設の有効活用と管理手法がきっかけとなり、現在に至っています。90年代のバブル崩壊後、長期のデフレ下にある現在の日本においても、特に大企業や地方自治体では、従来からの施設管理で多くのムリ・ムラ・ムダがあるとの認識のもとに、経営革新の切り札としてFMに対する関心が高まり、戦略的に進めるべく、その手法の開発や活動が活発になっています。
そもそも、このコラムをご覧の方の中には、「うちの事務所は賃借だしファシリティなんて言われても思い当たるものはない」とか「FMで経営が変わるなんて」とか感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
でも、よく考えてみてください。あなたの組織では、経営資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」のうち、「モノ」に相当するファシリティを経営資源として、積極的に活用できているでしょうか。「ヒト」に人事があり、「カネ」に財務があり、「情報」にITがあるように、ファシリティをマネジメントすることが実は二の次になっていた、そんなことはありませんか。
まずは、『ファシリティ=施設』と捉えるのではなく、土地・建物のほか、オフィス内の設備・機器・家具什器など、ファシリティから連想される言葉の一つ一つを経営活動にどうやって生かしてきたか、振り返ってみてください。
そうすると、あなた自身の周りでも、オフィス内の余剰スペースが有効に活用できていない、思ったよりも光熱水料が高いなど、といった問題意識から、実態を把握し、知らず知らずのうちにオフィスレイアウトを見直すことや複数事務所の光熱水料を一括管理に取り組む、といった行動を起こしていた、そんな経験が思い当たるのではないでしょうか。
結果として、仕事の効率化や想定外のコストダウンを実現し、経営活動が改善につながれば良いのですが、うまくいかないことも数多くあり、FMには、結果が見えにくい、評価しづらいという一面もあります。