源泉徴収義務者はつらいよ・・・その理由とは?
2014年12月26日
〜源泉徴収は正しく行いましょう〜
(1) 源泉徴収制度と源泉徴収義務者
わが国の所得税は、納税者が自ら税務署へ所得の申告を行うことによって税額を確定させて、納税する申告納税制度をとっていますが、給与や利子、配当、報酬などの特定の所得については、その所得の支払の際に支払者が所得税を徴収して納付する源泉徴収制度が採用されています。
また、源泉徴収に係る所得税を徴収して国に納付する義務のある者を源泉徴収義務者といいます。たとえば、あなたの会社が従業員に対して給与の支払いをする際、給与から所得税を徴収して従業員のかわりに国に所得税を納めていますね。それはあなたの会社は源泉徴収義務者だからです。
(2) 源泉徴収義務者の果たす役割
源泉徴収義務者は、給与については年末調整をしなければなりません。年末調整とは、役員・従業員の1年分の所得税を計算して不足額がある場合には徴収して国に納付し、また還付額が出る場合には国にかわって立て替えて還付までしてあげるというものです。
この大変な事務作業を源泉徴収義務者が行うことにより税務行政が効率化され、給与を受ける側も確定申告の手間から開放されます。それにくらべて源泉徴収義務者のメリットは、従業員が申告に手間を取られることなく仕事に集中してもらえる、ということくらいでしょうか。
(3) 源泉徴収義務者のペナルティ
では、もし源泉徴収義務者が源泉徴収すべき税額を徴収していなかった場合や、正当額より少なく徴収して納付した場合にはどうなるのでしょうか? 奉仕の精神でやっているのだからペナルティなんてないでしょう? と言いたいところですが、実際にはペナルティがあります。
源泉徴収義務者が、源泉徴収すべき税額を徴収していなかった場合や、正当額より少なく徴収して納付した場合、税務署長はその所得税がかかる本人ではなく、源泉徴収義務者に対して、正当税額の納付を求めることとなります。
この税務署長が行う、納付すべき税額、納期限、納付場所を指定して納付の履行を求める処分を「告知処分」といいます。
源泉徴収義務者は告知処分に従い正当な税額を納付し、その税額を支払った相手方から返してもらうことになります。直接本人から徴収してほしいところですが、そういう仕組みにはなっていません。
そしてその相手方から返してもらえなかった場合は、最終的に源泉徴収義務者が他人の所得税を負担するということになってしまいます。