休憩時間でも賃金発生!? 〜労働時間の疑問、すべて答えます〜

2015年01月08日

今回は、日頃事業主の方からご質問の多い労働時間について確認をしてみたいと思います。

 

皆様は労働基準法で規定されている「労働時間とは?」と聞かれたら、どのようにお考えになりますか。
「休憩時間を除いた始業時間から終業時間までのことでしょ?」とお答えになる方も多いことと思います。
答えは基本的にはそのとおりですが、実際の労働の現場では、例えば「電話番をしながらのお昼休憩の時間も休憩時間なのか? それとも労働時間なのか?」など、様々な疑問が出てくるようです。

 

そこで、よくご質問を受ける内容をQ&Aでご紹介してみます。

 

Q.当社では12:00〜13:00を休憩時間としていますが、休憩時間中も従業員には自分の席で昼食をとりながら電話や来客があればその応対をしてもらっています。この時間については休憩時間ということで賃金は支払わなくて問題ないのでしょうか?

 

A.このケースでは、電話がかかってくれば出て、来客が来れば応対していますので、休憩時間ではなく、手待ち時間となります。
手待ち時間はいつでも仕事ができるように待機している時間ですので労働時間となり、賃金を支払う必要があります。
休憩時間は労働から離れることを保障された時間ですので、基本的には自由に利用させなければならない時間です。そこで、お昼の時間帯も電話や来客の応対が必要である場合には、休憩を交代制にして従業員の皆さんがきちんと休憩時間を取れるようにすることが対策として考えられます。
尚、この場合には「一せい休憩適用除外」の労使協定を結ぶ必要があります(商店等、一せい休憩の原則の適用除外となる業種があります)。

 

Q.当社の始業時刻は朝9時ですが、従業員は8時30分から8時45分頃に出勤し、社内の清掃をして、9時から通常の業務を行っています。
先日、ある従業員から朝の清掃の時間は労働時間なのだから賃金を支払ってほしいと言われました。
仕事前に掃除をするのは当たり前ではないかと思うのですが、この従業員が言っているとおり、始業時刻前の清掃時間は労働時間になってしまうのでしょうか?

 

A.会社が従業員に対して清掃を義務付けている場合には労働時間に該当しますが、従業員が自主的に行っている場合には労働時間にはなりません。
しかし、会社から直接命令をしていない場合でも、慣習上義務や制度化されていて、それらを行わない場合に従業員に何らかの不利益が予想される場合には労働時間と判断されますので注意が必要です。
始業時刻前に多少のゆとりを持って出勤するくらいの気持ちが社会人としては必要なのではないかと道徳的には考えられると思いますが、法律的に判断すると義務化されている場合には労働時間になってしまうのです。
 

横地冬美事務所 特定社会保険労務士・行政書士 横地冬美 執筆者紹介

横地冬美事務所 特定社会保険労務士・行政書士 横地冬美

2003年社会保険労務士、2004年行政書士登録。人事労務のエキスパートとして「正確・迅速・分かりやすく」をモットーに日々業務を行っています。
横地冬美事務所 http://yokochi-office.net

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