人、組織、資金を動かすために知っておくべきこと

2015年01月19日

経営理念

会社全体が、目的達成に向けて一貫性のある活動をするために重要な役割を担うのが「経営理念」です。
経営理念とは、会社は何のために存在するのか、何を大切にし、何を追い求めるのか、どのように行動し活動すればよいのか等、会社の進むべき大きな方向性を従業員に示すものです。
全員で共有することで、一貫性のある統制のとれた活動ができるようになることがその狙いです。定着すればそれが企業文化ともなるものです。

 

例として実際の経営理念を一つご紹介しましょう。
あるアメリカの製薬会社が掲げていたものです。
「We try never to forget that medicine is for the people. It is not for the profits. The profits follow, and if we have remembered that, they have never failed to appear.」
「我々は、医薬品が人々のためにあることを決して忘れないように努める。それは利益のためにあるのではない、利益は後からついてくるものなのだ。そして我々がそのことを忘れずにいるのであれば、利益は必ず姿をあらわしてくれるのだ。」

 

この経営理念を掲げていた頃のこの会社は、人々のために革新的で優れた医薬品を世に送り出し、世界で一番の製薬メーカーでした。
また最も尊敬される企業の一つとして、アーサーヘイリーの小説「ストロング・メディスン」の中でも紹介されました。

 

企業の業績と経営理念の有無の関係については次のような統計調査もあります。

 

売上げ2.5億円までの企業のうち経営理念がある会社: 47%
売上げ10億円までの企業のうち経営理念がある会社 : 57%
売上げ30億円までの企業のうち経営理念がある会社 : 70%
売上げ30億円以上の企業のうち経営理念がある会社 : 76%

 

明らかに業績と経営理念の有無は関係あるようです。
また、百年を超える老舗企業にはほぼ例外なく経営理念があるという事実も、経営理念が会社の経営に大きな役割を果たしていることを示しています。

 

経営目標

経営理念が一般的に抽象的、あるいは普遍的な表現を取るのに対して、経営目標は経営理念をより具体的に表したものです。
事業を行うことで到達したいゴール、挙げたい成果を示します。

 

例としては、かつてトヨタ自動車が掲げていた「グローバル・テン」を紹介しましょう。
世界でシェア10%を目指すという経営目標でした。もちろん見事にその目標は達成され、現在は「トヨタグローバルビジョン」が掲げられています。
経営目標は、長期的な視点で将来目指すべき会社の姿を表したもので、いわゆる「経営ビジョン」とも言えるものです。
将来の目標、到達点をより具体的に掲げることで、全員のベクトルをそろえると同時に、モチベーションを高めることもできるのです。
表現の仕方は様々で、「グローバル・テン」のように具体的に数値目標を掲げることもありますが、会社の将来のあるべき姿を言葉で描いているものもあります。

 

管理運営の根幹となる考え方として、「経営理念」と「経営目標」をご紹介しました。
次回は「経営戦略」について話を進めていきます。

エバーグッド・コンサルティング 代表 中小企業診断士/認定経営革新等支援機関  首藤愼一 執筆者紹介

エバーグッド・コンサルティング 代表 中小企業診断士/認定経営革新等支援機関  首藤愼一

経営改善計画策定支援、経営革新計画策定支援、各種補助金(ものづくり、創業etc)の申請支援など、製造業から小売業まで業種を問わず「中小企業の元気に貢献する」を理念に活動しています。

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