オフィス街or住宅街、ドーナツを販売するならどっちがお得?
2015年01月26日
【例題1】
◎第1原則⇒比較の対象は、「停電した場合」と「停電しない場合」。
◎第2原則⇒
<オフィス街>
・収益の違い 停電しない場合1,000円、停電の場合 0円 相違分1,000円
・費用の違い 停電しない場合 300円、停電の場合 0円 相違分300円
・利益の違い 停電しない場合 700円、停電の場合 0円 相違分700円
<住宅街>
・収益の違い 停電しない場合 0円、停電の場合 0円 相違分 0円
・費用の違い 停電しない場合 0円、停電の場合 0円 相違分 0円
・利益の違い 停電しない場合 0円、停電の場合 0円 相違分 0円
オフィス街では700円の損失となりますが、住宅街では損が出ない結果になりました。これは、住宅街は停電中に作り置きしたドーナツを売ればいいのに対して、オフィス街は停電によって生産がストップするので、復旧までの間に見合った利益が得られないからです。
【例題2】
◎第1原則⇒比較の対象は、「宣伝した場合」と「宣伝しない場合」。
◎第2原則⇒
<住宅街>
・収益の違い 宣伝した場合 5,000円、宣伝しない場合 0円 相違分 5,000円
・費用の違い 宣伝した場合 1,500円、宣伝しない場合 0円 相違分 1,500円
・利益の違い 宣伝した場合 3,500円、宣伝しない場合 0円 相違分 3,500円
宣伝活動により利益が増加し、3,500円の効果を生まれました。今回は呼び込みでしたがチラシなど広告宣伝には様々な手法があります。この考え方を参考に、他のケースにおける宣伝による効果を考えてみてください。
【例題3】
◎第1原則⇒比較の対象は、全体の売り上げにおいて、「お客さまが出ていった場合(買わない=売上85個)」と「お客さまが出ていかない場合(買う=売上90個)」。
◎第2原則⇒
<住宅街>
・収益の違い 買わない場合 8,500円、買う場合 9,000円 相違分 500円
・費用の違い 買わない場合 2,550円、買う場合 2,700円 相違分 150円
・利益の違い 買わない場合 5,950円、買う場合 6,300円 相違分 350円
お客さまを逃した場合、5個売上が減るので、利益では350円の損になります。例題では、この後、別のお客さまが来ないことを前提にしましたが、このあと別に来て売れれば損は生じません。また、余って廃棄する場合は、90個作るので、いずれも場合も費用に差は生じないため、売上の差額500円がそのまま利益の差になります
今回の例題では、繁閑が異なる2店舗を題材に損得を考えてみました。
忙しいオフィス街の店舗は、需要量が生産能力を上回っており「手不足」の状態にあります。また、暇な住宅街の店舗は、生産能力が需要量を上回っており「手余り」にあります。
手不足のオフィス街では、【例題1】のトラブルがそのまま、損失の発生に直結します。一方、手余りの住宅街では、作り置きで対応できたので損失を出さずにすみました。ここで押さえていただきたいポイントは、手不足の時は、生産の供給能力を高める方策が効果を生むことになります。
逆に、住宅街のように手余りの状態のときは、生産の供給能力を増しても効果は生じません。こういう場合は、【例題2】のような販売量を増す方策とか供給能力を他に転用する方策が、売り上げ増加や損失の回避といった効果を生むことになります。
これらの例題から、手不足、手余り、いずれの状態にあるかで、損得に対する方策がまったく異なることに気付いていただけたかと思います。
今回の解説はここまでです。
次回も引き続き、損得計算による意思決定を考えてみたいと思います。