役員報酬を損金に算入することはできるの?
2015年04月23日
3月決算法人が4月、5月に検討しなければならない事項として役員報酬の決定があります。
そもそも法人が支給する給与には「従業員に支払う給与」と「役員に支払う給与」の2種類があります。
従業員には雇用契約(民法第623条)に基づいて給与が支払われますが、役員は会社から経営の委任を受けていると考えられており、民法の委任に関する規定が適用されます(会社法第330条)。したがって役員に対する給与は従業員給与とは異なり、委任契約に基づいて支払われます。
法人税法上でも支給を受ける人が役員なのか従業員なのかによって取り扱いが異なっており、役員に対する給与には特に注意が必要です。
例えば、法人税法第34条では、内国法人(国内に本店、もしくはメインの事務所を持っている法人)が役員に対して支給する給与(退職給与等を除く)は、例外を除き、その内国法人の損金の額に算入しない、という書き方になっています。
その例外にあてはまるような役員給与の支払い方でないと、支給した全額が法人税を計算するときに損金としてみてもらえないのです。
役員報酬も会社の経費であることに変わりはないのですから、法人税を計算するうえでも損金としてみてほしいですよね。
そこで今回は、役員給与のなかで、特に定時株主総会で決議しなければならない事項について解説します。
1. 役員とは
まず法人税法上の役員とはどういった人をさすのか確認しておきましょう。
① 取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事、清算人
② 使用人以外の人で、その法人の経営に従事しているもの(相談役、顧問等)
③ 使用人のうち特定株主に該当し、かつ、その法人の経営に従事しているもの
役員に該当しなければ、法人から支給された給与は経費性のあるものであれば、法人税法上も損金の額に算入されますが、役員に該当した場合には一定のルールに即した支給方法でなければ損金の額に算入されません。ですので、まず会社の役員の範囲をきっちり把握しておくことが重要です。
また、取締役営業部長とか取締役経理部長などといった使用人兼務役員に対する給与については、使用人分に係る賞与については損金に算入できるなど、役員とは取り扱いが異なる部分もありますので注意してください。
2. 損金算入できる役員給与
法人税法第34条で損金の額に算入しない役員給与の例外(損金となる)として掲げている役員給与は3つあります。
① 定期同額給与
② 事前確定届出給与
③ 利益連動給与
このうち③の利益連動給与については、同族会社に該当しない内国法人が対象ですので、今回は①②について解説します。