現場の生産効率を上げるための8つの方策
2015年05月11日
5.段取り時間の短縮
特に多品種少量生産の業種では、金型の交換、切削刃具の交換、ラインの変更などの段取り替え時間がばかになりません。段取りによって生産が止まる時間は無駄な時間です。この無駄をできる限り小さくする工夫が必要です。
具体的な工夫としては次のようなものがあります。
・動作分析などで無駄な動作を少なくし、段取り作業時間自体を短縮する
・内段取りの外段取り化
製造を終えてからラインを止めて行う段取りを「内段取り」と言います。段取り作業のうちラインが動いている間でもできる作業を特定し、前製品の製造中に予め行う段取りを「外段取り」と言います。内段取りを外段取り化することで段取り時間を短縮します。
・生産計画の工夫によるまとめ生産の推進
生産する製品が変われば、その都度段取り時間は発生します。前述の外段取り化で効率化を図ったとしても、ゼロにすることはできません。そこで生産の順番を工夫し、同じ製品はまとめて生産できるように生産計画、生産日程計画を立てることで、段取り時間のムダや、生産の立ち上がりで発生するロスを削減します。
6.予防保全/TPM(Total Productive Maintenance「全員参加の生産保全」)
生産設備が故障し停止すると生産性が低下します。予防保全とは、設備が故障して大きなロスが出る前に、設備を整備し故障を未然に防止しようという考え方です。
TPMとは、毎日接して設備のことを一番分かっている現場の作業者も設備保全に参画するという考え方です。
7.多台持ち、多工程持ち
一人の作業者が複数の機械を担当することを「多台持ち」といいます。
例えば一人の作業者が複数ラインのプレス機を受け持つといった方式で、「よこ持ち」ともいわれます。一人が1台しか受け持たない場合に比べ生産性は飛躍的にアップします。
一方、一人の作業者が複数の種類の機械を担当する方式を「多工程持ち」と言います。こちらも一人が1工程だけ担当する場合に比べ生産性が飛躍的にアップします。
ただし多工程持ちは作業者を「多能工」に育てる必要があり、計画的で地道な人材育成が必要となります。
8.設備レイアウトの改善
生産の形態に応じて最適な設備のレイアウトを選択することで生産性を上げる考え方です。
フローショップ型、ジョブショップ型、セル型などあります。実際に適用する際には単に生産形態による単純な決めつけだけではなく、作業者の動作分析、動線分析なども行い、現実に即したレイアウトとする必要があります。
以上、製品原価を低減させる方策を、2回にわたって製造の総費用の側面と、製造の総数量の側面からご紹介しましたが、少しは参考になりましたでしょうか。
営業努力による売上の増大は「利益の源泉」を大きくする非常に大切なことです。しかし、利益の大きさを決める「コスト」の側面も同様に重視していく必要があります。特にこれからの低成長な経済社会の中で、会社が生き残っていくためには不可欠な要素であることを強調して、本稿を終わりにいたします。