小規模企業白書をご存知ですか?
2015年07月13日
皆様はじめまして。中小企業診断士の專田政樹と申します。
初回のテーマは、今年初めて発行された「小規模企業白書」について、です。
「中小企業白書」についてはご存知の方もたくさんいらっしゃると思います。今年4月の発行で52回目となります。
その概要は「第1部:中小企業の動向」「第2部:イノベーションや販路開拓等の成功切り口」「第3部:地域」をテーマに記載されたものとなっています。
「小規模企業白書」というのは、その弟分となります。今回初めて発行されたという意味では52才後輩になるので、もしかしたらお孫さんかもしれません。そんな生まれたての「小規模企業白書」の内容について、考察を踏まえ御紹介したいと思います。
そもそも小規模企業って?
まずはベースに、中小企業基本法に基づく、中小企業の規定があります。その中で一定以下の従業員数の企業、事業者を小規模企業といっています。
条件は業態別に異なります。
a.製造業その他
資本金3億円以下、または従業員300人以下(or条件)が中小企業の条件で、その中でも従業員が20人以下の場合が小規模企業です。
b.卸売業
資本金1億円以下、または授業員100人以下が中小企業、うち従業員5人以下が小規模企業
c.サービス業
資本金5000万円以下、または従業員100人以下が中小企業、うち従業員5人以下が小規模企業
d.小売業
資本金5000万円以下、または従業員50人以下が中小企業、うち従業員5人以下が小規模企業
白書には様々なデータや事例が掲載されている為、業種や規模感が近いものから探ると「良いヒント」が見つけやすくなります。
小規模企業ってどのくらいあるの?
では、小規模企業はどのくらいの数があるのでしょうか?
前項で紹介した中小企業の規模を超える「大企業」が数では約1.1万社、従業員数は1397万人です。これって多いと感じますか? 少なく感じますか? この数だけ聞くとものすごく多く感じるかと思います。しかしその感覚は「本当のような嘘」なのです。
その種を明かすと、中小企業の企業数は385.3万社(者)、従業員数で3217万人です。この中には前項で触れた従業員数が一定以下の小規模企業も含まれています。中小企業のうちの小規模企業社(者)数は334.3万社(者)、従業員数は1192万人です。
1社あたりの従業員数は当然大企業の方が多いですが、絶対数で言えば中小企業の従業員数は大企業の2.3倍の人数がいます。小規模企業で働く従業員数でいっても大企業の0.85倍は存在しており、その絶対数はかなりの人数です。
企業数で比較すると、小規模事業者が全体の86.5%を占めています。つまり世の中の企業の中のほとんどが小規模企業だといっても大げさではないのです。
「小規模企業白書」ってどんな事が書いてあるの?
「小規模企業白書」は大きく2部構成になっています。
第1部が小規模企業の構造分析となっており、第1章でその実態、2章で動向、3章ではその未来、4章では地域との関わりについて書かれています。
このあたりの流れは「中小企業白書」と同じ流れになっていて、小規模企業にクローズアップした内容となっています。
第2部では「小規模事業者の挑戦-未来を拓く-」と題し、小規模企業振興のための4つの目標に即した事例紹介がされています。
ちなみに4つの目標とは、①需要を見据えた経営の推進、②新陳代謝の促進、③地域経済の活性化に資する事業活動の推進、④地域ぐるみで総力を挙げた支援体制の整備、です。
成功している企業の取組事例をもとに応用できそうな事例がたくさん集約されていますので、良いヒントとなるのではないでしょうか。
「小規模企業白書」を読み解くと
「小規模企業白書」を読み解くとさまざまなことが見えてきます。
では、第1部の第3章「小規模事業者の未来」に書かれている「経営計画の作成を通じた小規模事業者の意識の変化」について見てみましょう。