数字が苦手でも知っておきたい計数管理の基本は『比較』

2015年07月16日

今回から経営者にとって必須な能力である「計数管理」に関するお話を、何回かにわたってしたいと思います。
 

計数管理能力とは

数字は苦手と言われる経営者の方は意外と多く、数字は経理担当者任せ、税理士さん任せになっていることがままあります。皆さんはいかがでしょうか。
もちろん、社長自らが仕訳し、帳簿に付け、試算表を作成し、税金計算しなさいなどと言っているわけではありません。そういう仕事は、むしろ経理担当者や税理士さんにお任せで構わないのです。
 
重要なのは、出てきた数字の意味を理解し、自社の問題・課題に気が付くこと、そして適切な対策が取れることです。
中小企業にとっては、まだまだ厳しい経済状況が続く中、数字は苦手などと言っている場合ではありません。会社の成長、会社の存続にかかわる経営判断に数字(計数)の理解は欠くことのできないものです。
 
では、経営者にとって身につけるべき計数管理能力とは何でしょう。
それは「経営上の数値が最終的に“利益”と“資金”にどう関係し、どう影響するのか理解する能力」と言えます。なぜなら、会社にとって最も重要なことは、いかに利益を生み出していくか、いかに資金を回していくかに他ならないからです。
 

これから扱うテーマ

私は中小企業診断士です。会計士さんや税理士さんほど会計経理に精通しているわけではありません。ただ企業経営という視点で会社の計数を読み、理解することに関しては私の守備範囲と自負しています。
そこで数字は苦手という経営者の方にも苦手意識を捨ててもらえるように、出来るだけ経営の視点から、分かり易く説明をしていきたいと思います。
何回かに分けてお話をしていきますが、その概要を以下にご紹介しておきましょう。
 
1.計数管理の基礎
数値の読み方、分析の仕方について基礎的知識を説明します。

2.損益計算書、貸借対照表
会社の計数を理解する上で、この2つの帳表についての知識は不可欠です。
簿記・会計経理の知識なしでも理解できるように説明します。

3.売上高と利益
会社にとって一番大切な利益とその源泉である売上高について、どのように分析するかお話しします。

4.資金(現金)
私の最初のコラム「資金繰りの失敗は会社の突然死を招く」でも資金の重要性についてお話をしました。今回は改めて、そしてもう少し分かり易く経営の視点から説明します。

5.設備投資
設備投資は会社の成長力の源泉になり得ると同時に制約条件にもなり得る、いわば諸刃の剣です。設備投資の判断に必要な計数と指標についてお話しします。

6.経営診断
経営状態の診断は、いわば会社の健康診断です。そのために必要な指標のうち代表的なものをいくつかご紹介します。
 

経営判断について

くどいようですが、計数管理は様々な経営判断を行う上で必須の能力です。そして、これからそのお話をしていきますが、その前に少し経営判断そのものについても触れておきたいと思います。
 
皆さんが経営判断をするうえで必要な情報は何でしょう。判断すべき内容により様々ありますね。
例えば、新製品開発であれば、景気、市場の動向、競合(品)の動向、顧客ニーズ、自社の製品力(魅力)、営業力、技術力、設備能力等々、様々な観点から検討し決断することになります。
そして、これらの情報を検討する上で忘れてならないことは、数値に裏付けられた定量的側面からの評価です。ともすれば主観的で定性的な側面からの判断に偏りがちになりますが、可能な限り数値情報を合わせて検討することが重要です。
 
今回扱う「計数管理」では、売上、利益、資金など会計的な情報を対象に説明していきますが、そこでの考え方の基本は、会計的な数値情報以外にも応用できるものがあります。
是非その点にも着目して読んでいただくことを期待します。
 
それでは初回の今回は、計数管理の基礎的知識についてお話ししましょう。

エバーグッド・コンサルティング 代表 中小企業診断士/認定経営革新等支援機関  首藤愼一 執筆者紹介

エバーグッド・コンサルティング 代表 中小企業診断士/認定経営革新等支援機関  首藤愼一

経営改善計画策定支援、経営革新計画策定支援、各種補助金(ものづくり、創業etc)の申請支援など、製造業から小売業まで業種を問わず「中小企業の元気に貢献する」を理念に活動しています。

首藤愼一先生のコラム一覧へ≫