貸借対照表と損益計算書は何のためにあるのか?
2015年12月01日
今回は計数管理の第4回です。
前回で「計数管理の基礎」については説明が終わり、テーマは損益計算書と貸借対照表に移っています。貸借対照表と損益計算書の基本的な特徴についてお話ししましたが覚えておられるでしょうか?
ポイントを復習しましょう。
貸借対照表の特徴は「ストック」でしたね。ストックとは「貯蔵」「残高」といった意味で、ある一時点の会社の財産(資産)の残高、まさにストックを表すのが貸借対照表です。
損益計算書の特徴は「フロー」。フローは「流れ」「流量」という意味でした。常に流入・流出するダムの水のように増減する収益と費用を表すのが損益計算書です。
さて今回は、貸借対照表と損益計算書についてもう少しお話しします。
BSとPL
貸借対照表と損益計算書、ちょっと呼びならわすには長い名称ですね。
そこで財務・会計関係の人たちは貸借対照表をBS、損益計算書をPLと呼んでいます。
BSは「Balance Sheet」、PLは「Profit & Loss Statement」の略です。これ以降は「BS」「PL」を使っていくことにします。
そもそも何のためにあるのか
さて、そもそもBSとPLは何のために作成されるのでしょうか。
このお話は詳しくすると、そもそも古代ローマや中世イタリアにさかのぼり複式簿記の生い立ちから話すことになってかなり脱線をすることになるので、簡単に要点だけ解説しましょう。
ちなみに日本に複式簿記を紹介したのは福沢諭吉と言われていますが、実際に導入したのは渋沢栄一です、ご参考まで。
では、本論に戻りましょう。
皆さんの中には株式投資をしている方もいらっしゃるでしょう。したことがないという方は想像してみてください。
あなたはある会社の株を、株式市場を介して購入しようとしています。
株を売買する動機は様々ですが、共通することとしては、買ったときよりも株価が上がってくれることを望むということだと思います。従ってできるだけ有望な会社の株を選ぶことになりますね。
その際の重要な判断材料として、その会社の財政状態(資産や負債、資本の状況)と経営成績(売上と利益)は外すことができないのではないでしょうか。
この会社の財政状態を表すのがBS、経営成績を表すのがPLなのです。
財政状態と経営成績を気にする人たちですが、株式投資をする人以外にもいますね。
例えば会社にお金を貸す人、つまり金融機関です。
そのほかにも、会社に商品や製品を納めている会社、その会社から商品や製品を購入している会社、その会社で働いている従業員、そしてその会社を経営している経営者本人です。
そうそう税務署も財政状態と経営成績を気にしています。
BSとPL、何のためにあるのか。それは「会社の財政状態と経営成績を知りたいと望む人たちのためにある」。これが答えです。