資金繰りの失敗は会社の突然死を招く
2014年09月17日
黒字だって倒産する!
社長の仕事、特に中小事業主である社長の仕事は多岐にわたり、本当に大変だと思います。ヒト・モノ・カネ・ノウハウ、すべてに関与し、押さえるべきところはしっかり押さえなくてはいけません。例えば、製造業であれば、製品開発、購買、製造、営業、出荷、財務経理、人事総務など、見なければいけないところばかりです。
そのなかでもどうしても外せないポイントというものがあります。そこを疎かにすると会社の命に係わる、そんなポイント、それが「資金繰り」です。
と言うと「なんだ、それなら経理に任せている。しっかりやってくれているからウチは心配ない」と思った社長、本当に大丈夫でしょうか?
資金(現金)は、人間に例えると血液のようなものです。血液が不足したり、滞ったりして血液が体に回らなくなると、人間は死亡してしまいます。これと同じように、資金も不足したり、滞ったりして回らなくなると会社の命が危うくなるのです。
黒字倒産という言葉はご存知だと思います。損益計算書では黒字を計上している、儲かっている会社が、突如倒産してしまうケースです。たとえ黒字を計上していても、何らかの理由で会社の血液たる資金が欠乏し回らなくなって起こります。まさに人間でいえば、昨日まで元気にしていた人が、脳梗塞や心筋梗塞で脳や心臓に血液が回らなくなり突然死んでしまうのに似ています。
「資金繰り」は、資金(現金)の循環を健全に保ち、黒字倒産のような会社の突然死を未然に防ぐため行う、非常に重要な「社長の仕事」です。経理担当者にお任せで済むような話ではないのです。
資金繰りで社長のすべきこと
資金繰りと言うと、文字通り「資金繰り表」が頭に浮かぶと思います。毎月出ていく会社の現金“支出”と、現在持っている現金+入ってくる現金“収入”を資金繰り表で見積もり、収入が支出を上回るように、必要であれば銀行からの借入金で調整します。一般的に資金繰り表は経理担当者が作成し社長が承認します。銀行への融資申し込みをするための資料にもなります。資金繰り表は向こう1年(12ヶ月)を見通すように作成すべきですが、最低でも3ヶ月は必要といわれます。それは銀行に融資をお願いする場合に2〜3ヶ月リードタイム(※1)が必要なことがあるからです。
さて、経理担当者から資金繰り表が上がってきました。社長は何をチェックしますか?単に毎月の収支バランスをさっと眺めて「うん」とうなずき納得して終わっていませんか?
資金繰り表は資金の出入りを予測するものです。予測である以上、その精度が重要になるのは当然のことですね。資金繰り表で社長がまずやるべきこと、それは「資金繰り表の予測が適切か確認すること」です。先行きの売上予測が資金繰り表の売掛金回収予測に反映されているか、売上予測に対応した仕入計画に基づく買掛金の支払になっているか、設備投資計画に対応した資金支出になっているか、賞与や法人税など一時的に必要となる資金は計上されているか、資金調達のタイミングと額は適切か、などを確認する必要があります。また、それらの確認がしやすい資金繰り表の作成と補足資料の準備を経理担当者に指示することも大切です。
これだけやれば不注意による資金欠乏などで会社を危機にさらすリスクはかなり減らせます。また資金の有効活用にも貢献するでしょう。
ではこれでもう安心かと言えば、残念ながらそうはいきません。ここまでは、社長がやるべき「資金繰り」の第一歩にすぎないのです。
それでは、社長が更にやらなければならない「資金繰り」とは何でしょう。