フレーミング効果を理解して正しい判断を!
2015年02月26日
〜ビジネスに役立つ行動経済学②〜
前回の行動経済学
以前、行動経済学の話として「コンコルドの誤謬」をご紹介しました。覚えておられるでしょうか。
これまでに投入した金銭的、精神的、時間的な投資が既に回収不能であることを理解しつつも、それまでの投資が水泡に帰すことを惜しんで、ずるずると投資を続けてしまう状態のことでした。
コンコルドの誤謬の例は、経営者がビジネスを続けていくうえでの意思決定の重要性を示唆してくれています。
つまり既に発生してしまったものが埋没コストであると分かった時点で、勇気ある撤退ができる、そういった意思決定能力が経営者には必要だということを示しています。
損のフレーム、得のフレーム
さて今回も意思決定にかかわる行動経済学の理論です。それは「フレーミング効果」と呼ばれるものです。
人は一つの物事に対する判断基準(フレーム)をいくつか持っており、どの基準を使うかによって、結果が大きく変わってしまうといいます。
フレーミング効果とは、同じ物事に関することでも、数値データなどの見せ方を変える事で、その物事に対する判断が大きく変わってしまうという効果です。
ここで皆さんに一つ質問をします。
以下のどちらかを選ばなければいけない場合、あなたはどちらを選びますか?
A)無条件で1万円くれるという申し出
B)10%の確率で10万円もらえるが、外れると何ももらえない賭け
いかがでしょう、おそらくA)を選ぶ人が多いと思います。
実は数学的に言うと、A)もB)も期待値は同じで両者は同価値なのです。
しかし、実際にこの質問を多くの人に行った実験では、A)を選ぶ人がほとんどだったそうです。
では次の質問はどうでしょう。
A)例外なく通行料1万円を払わなければならない関所
B)10人に1人は通行料10万円を払わなければいけないが、9人は無料で通過できる関所
どちらを選びますか? おそらくB)を選んだ方が多いのではないでしょうか。
この問題も期待値は同じですが、今度は選択の基準が変わりましたね。
最初の質問の場合は「得」を判断基準にA)を選択した人が多く、「90%の確率で何ももらえないなら、100%確実に1万円もらっておこう」となり、次の質問では、逆に「損」を判断基準にして、「100%の確率で1万円失うよりは、90%の確率で損しない方を選んでおこう」と考える。
これはつまり、「得することに関して人は確実性をフレームにするけれど、損することに関しては確率をフレームに考える」ということです。