フレーミング効果を理解して正しい判断を!
2015年02月26日
ネガティブ・フレーム、ポジティブ・フレーム
さて、もう1つ例を示しましょう。
A)この手術では1,000人中100人が死亡します
B)この手術では1,000人中900人が助かります
医者から手術を勧められたとき、どちらを言われたほうが「それなら手術を受けてみよう」という気持ちになりますか?
よく見ると、2つは同じことを言っているのだとわかります。
実際に米国での実験では、B)のように言ったほうが患者の承諾率が上がったといいます。
「死亡する」ことではなく、「助かる」ことに焦点を当て、患者の判断フレームを「助かる」というポジティブな方へ向けさせたことで承諾率が上がったのです。
経営者の意思決定
経営者として、このフレーミング効果は十分理解しておく必要があります。
経営上の意思決定の際、例えば部下から上がってきた決済願いを判断する際になど、自分が偏ったフレーミングをしていないか注意してください。
例えば、「この設備投資を実施すれば、80%の確率で売り上げが増加します。」と説明されたら、「設備投資を実施しても、売り上げが伸びない確率は20%ある」と(心の中で)言い換えてみましょう。そして80%の確率の根拠を冷静に検証するのです。
同時に回収期間など投資対効果の検討もしなければいけません。逆に部下がネガティブな報告を上げてきたら、ポジティブな表現に言い換えてみましょう。それにより心をニュートラルに保つのです。
社内コミュニケーション
従業員のモチベーションの有無が会社の業績に大きく影響することは、経営者の皆さんならば実感としてお分かりと思います。
例えば社員への次のような訓示、どちらがモチベーションを高めるでしょう。
A)今期の目標は既に80%を達成している。あとわずか20%である。
我々ならば必ず目標を達成することができる! 皆で力を合わせ頑張ろう!
B)今期の目標はまだ80%しか達成していない。20%も未達である。
これまで何をしていたのか。何としても目標を達成するのだ! がんばれ!
これもフレーミング効果の一つです。数値的には同じ業績ですが、フレームの違いで受け止め方に大きな差が生まれます。
こういうことの積み重ねが業績に影響していくのです。くれぐれもお忘れなく。
次回も引き続きこのテーマ「フレーミング効果」についてお話ししたいと思います。
今回は経営者の意思決定やコミュニケーションにとって重要だと説明しましたが、次回はこの効果がお客様の商品選好に影響を与える点について紹介したいと思います。