埋没する費用ってなんだ?
2015年03月16日
【例題2】
凸凹テックのサカイ工場長は、機械の設備投資で悩んでいます。
現在、取得価格4000万円で耐用年数6年の機械を2年使いましたが、省力化対応の最新鋭の機械が3300万円で発売されるとの情報を得ました。
新機械に取り替えると、現機械に比べ毎年度のコストが1200万円節約できます。新設備の使用期間は4年を予定しています。
一方、現機械は、年600万円で定額償却をしており、現在の簿価は2800万円です。ただし、処分収入は500万円なので、新機械に取り替えて現機械を処分すると会計上では2300万円の処分損が生じてしまいます。
さて、新機械を購入した場合の損得計算はどうなるでしょうか。
【考え方】
例題1と同様に考えてみましょう。
このケースでの埋没費用は何でしょうか。
ズバリ! 既に使用している設備の取得価格4000万円です。
損得計算は、実際に起こったこと、起こるであろうキャッシュフローに基づいて計算します。
ですから、実際にキャッシュフローを生まない減価償却費は損得計算から除きます。
(減価償却と損得計算については、次回以降改めて解説します)
新設備に取り替えると、
損:3300万円(新設備購入費)-500万円(処分収入)=2800万円
得:1200万円(コスト削減額)×4年=4800万円
損得計算では、新機械をすぐに購入した方が、差引き2000万円の得となります。
改めて言いますが、埋没費用は、支払済みで今更変更できない費用のことです。比較の対象の中でいずれの方策を採用しても、相違する費用にはなりません。これだけ使ったのだからもったいないと思ってしまうと、これからかかる費用に対する正確な判断を鈍らせてしまいます。
極端な例になりますが、昼ごはんを決める時に朝食代を思い出すようなものです。
これから食べる昼ごはんの複数案から損得を判定するときに朝ごはんにいくら使ったかを考えても意味がないでの、最初から忘れてしまえばいいのです。
とは言え、一日に使えるおこづかいが決まっている方には、朝食代にいくら使ったかは切実な問題ですけどね(笑)。