こんなリーダーはチームづくりをダメにする
2015年03月19日
社長の仕事シリーズ(11)チームづくり①
社長の仕事シリーズ(8)から(10)で、経営とは何かという総論的なお話をしました。今回からはまた各論的なテーマを扱っていきたいと思います。
以前リーダーシップについてお話をしましたね。そこではリーダーシップにはタイプがいくつかあること、そして状況によりそれらを使い分けることが大切であること、そしてSL理論というリーダーシップの使い分けに関する考え方をご紹介しました。
リーダーシップ①:社長の必須能力「リーダーシップ」のタイプを知る
リーダーシップ②:4つのリーダーシップタイプを使い分けよう
今回はチームづくりとリーダーについてのお話です。
チームづくりの重要性
今は亡き司馬遼太郎氏の「項羽と劉邦」という小説をご存知でしょうか。紀元前200年くらいの中国の英雄を描いた物語です。
項羽と劉邦はお互いまったく異なるタイプの英雄(リーダー)で、秦の始皇帝が死んだ後、中国の覇権を争いました。二人の戦いの結末は、かの四面楚歌で有名な垓下の戦いにおいて劉邦が項羽を打ち滅ぼし、漢帝国の高祖となるというものです。
項羽は極めて戦闘力に優れた全能的な武将として描かれています。実際、劉邦は最後の垓下の戦いで勝利するまで項羽には一度も勝てませんでした。この話は語りだすと長くなるので手短に結論を言いましょう。
なぜ劉邦が圧倒的に武に優れた項羽に勝つことができたのか。それはチーム力の差だったと言いたいのです。
項羽は、自ら武勇に優れ、常に戦いに勝利してきたという自尊心が強く、それが邪魔をして有能な人材が彼の周りには集まりませんでした。
一方の劉邦は、何も入っていない大きな器のような人物で、個人としての能力は人並み、あるいは人並み以下なのに、なぜか人材が集まったといいます。
そして彼らが劉邦を中心に強力なチームを創ることで、最終的に項羽を葬り去ったのです。
項羽と劉邦を引き合いに出さなくても、似たような例は私たちの周りにいくつも転がっています。どんなに有能で仕事ができても、所詮一人の能力はたかが知れているのです。
現代の会社経営においても、このことはよくよく肝に銘じなければなりません。
項羽は超人的に有能でした。一時は中国の覇権を手中に収めかけました。しかしそれでも最後は「チーム劉邦」に滅ぼされたのです。超人ならぬ我々であればなおさらだと思いませんか。
チームづくりを邪魔するもの
項羽と劉邦を引き合いに出してチームづくりの重要性を強調しました。項羽の場合は、彼の超人的な能力と強い自尊心がチームづくりの邪魔をしたと言えます。
チームづくりの邪魔をするものはそれだけではありません。
他にはどのようなケースがあるのでしょう。いくつか紹介しましょう。