決算月に忘れずにしておいてほしいこと~消費税の計算方法の確認~

2015年03月23日

3.免税事業者のデメリット

免税事業者は消費税の納税が免除されているのでメリットしかないように見えますが、デメリットとなる場合もあります。
免税事業者は、預かった消費税よりも支払った消費税の方が多くても、原則課税の適用を受けている課税事業者のように消費税の還付を受けることができないのです。
 
しかし、還付を受ける方法もあります。
免税事業者が課税事業者になって消費税の還付を受けたい場合には、事前に「消費税課税事業者選択届出書」を提出すればいいのです。この「事前に」というのがミソで、3月決算であれば3月中に提出しておかないと翌事業年度で課税事業者になることができません。
また、課税選択によって納税義務者となった最初の課税期間を含めた2年間は免税事業者に戻ることはできませんので、2年間の消費税の有利不利を見積もって決定しなければなりません。
 

4.簡易課税制度の落とし穴

簡易課税制度を選択した場合は、実際に支払った消費税はまったく考慮しませんので、原則課税と違い、有利になる場合と不利になる場合があります。
しかし、実際には結果的に有利になるケースが多いので、簡易課税の適用を受けている法人はたくさんあります。
 
この簡易課税制度の適用を受けるためには、原則として適用しようとする課税期間の開始の日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することが必要です。
また、一度選択すると原則として、2年間は原則課税に変更することはできません。
簡易課税の適用を受けている事業者が「来期、実際に預かった消費税より支払った消費税が多くなりそうだ」となった場合も同様です。
原則として、やめようとする課税期間の開始の日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出する必要があります。
   

5.前もって決めなければならないのが大変

このように消費税の制度は、コトが起こりそうな期の直前期末までに前もって計算方法を変更する旨の届出書を提出しなければならないため、決算月までに翌期、翌々期の予想や計画を立てることが非常に重要となってきます。
 
今回は消費税について基本的な考え方をご理解頂くため、基本的な内容しかご説明できませんでしたが、今回ご紹介できなかった細かい規定もあるため、実際の適用にあたっては事前に税理士に相談されることを特にお勧めいたします。

岩嵜・杉原合同事務所 税理士 杉原麻友子 執筆者紹介

岩嵜・杉原合同事務所 税理士 杉原麻友子

平成21年7月開業。
著書「団塊世代サラリーマンのための定年退職マニュアル 厚生年金・雇用保険・健康保険の手続きと確定申告がわかる本」(共著)(税務研究会)
ホームページ http://sugihara-accounting.com/
ブログ(大阪の女性税理士sugiの天満橋日記) http://ameblo.jp/sugihara-accounting/

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