選ばなかった選択肢によって失った利益を知る
2015年03月26日
【考え方】
まずは、損得計算の基本原則に基づき計算してみましょう。
【損得判断の基本原則】
第1原則 → 比較の対象を明確にする
第2原則 → 収益の違い − 費用の違い = 利益の違い
比較の対象の間で、お金の流れに着目し、収益の違いと費用の違いをそれぞれ総額でとらえる
この例題で【第1原則】比較の対象になるのは、「特別注文を引き受ける」か「断るか」になります。
それぞれの場合の【第2原則】収益と費用の違いは次のとおりです。
<収益の違い>
引き受ける場合 2,000円×1,000個=200万円
断る場合 1,000円× 800個= 80万円 相違分120万円
<費用の違い>
引き受ける場合 700円×1,000個+ 50万円= 120万円
断る場合 500円× 800個+ 30万円= 70万円 相違分50万円
<利益の違い>
収益の違い 120万円-費用の違い50万円=相違分70万円
損得計算での結論は、特別注文を引き受けることで70万円利益が増加するということになりました。
では、機会費用に着目してこの例題を解いてみましょう。
この場合、特別注文を受けた場合の利益は、
(2,000円-700円)×1,000個-50万円 = 80万円
断る場合に失う従来分の利益は、
(1,000円-500円)×800個-30万円 = 10万円
機会費用は、あきらめた選択肢により失った利益ですから、この10万円になります。
特別注文を引き受けた場合の利益から、機会費用を差し引くと、
80万円 - 10万円 = 70万円となり、損得計算の答えと一致します。
機会費用というと、その名前から、いつの時点で支払う費用かよくわかりませんが、実際のところ、意思決定の過程であきらめた案が得るはずだった「架空の利益」を指しています。
例題から、損得計算は、機会費用をすべて損得計算に費用として折り込んでいることを理解していただけたでしょうか。
繰り返しになりますが、損得判断に当たっては、基本原則である第1原則と第2原則にモレやダブリがないよう、よ~く吟味した上で計算していただけますよう、よろしくお願いします。