職場にあふれる『コツ』や『ノウハウ』をどのように生かしていくか
2015年04月06日
「暗黙知」「形式知」という二種類の知識は、この4つのプロセスの上で、SECIのモデル図のサイクルからスパイラルを描きながら、個人レベルの暗黙知から、集団や組織レベルに共有・認知され、形式知として増幅し、創造されていきます。知識創造のプロセスは、SECIを一周すればそこで終了するのではなく、個人に内面化された暗黙知が新しいSECIモデルの出発点となって、こうして絶え間なく知識創造が行われるのです。
最近のオフィスでのIT化は、目を見張るものがあります。個々の営業担当者が持っている顧客情報や、店舗ごとに管理している売上情報を、IT活用によりデータベース化しマーケティング活動に結びつけているように、組織内に分散した情報の断片を収集、分類、体系化することで新たな形式知として創造することが可能となっています。
ただし、形式知と形式知を単に結びつけるだけでは、知識を効率的にマネジメントしているだけで、必ずしも新しい知識創造にはつながりません。
SECIモデルで説明したとおり、暗黙知と形式知のスパイラルが組織の知識創造には必要で、形式知の結合だけでは企業の既存の知識ベースを頭で理解したことに過ぎず、腹に落としたことにはならないのです。
では、身の回りにある個人ベースのコツやノウハウを、企業の知識に創造していく手順を考えてみましょう。
職場の仲間内で共同化されたノウハウなどの暗黙知を表出化するためには、組織内にクローズされたグループウェアやSNS、社内ブログの活用が手段の一つとして考えられます。とにかく暗黙知を拡散させて表出化させるのです。些細なレベルのノウハウでも構いませんので、日々経験したこと、考えていることをブログでメッセージとして発信し、SNSでやりとりする。
まずは、こうした仕組みを整備して企業内に形式知を創造する文化を作っていくことです。
次に行うことは、メッセージの中から、複数の形式知を選び出し連結化していく作業です。組織内でシステム化されていれば、Facebook風の「いいね!」のカウントや、閲覧数、コメント数や現場での活用実績といったデータを評価することで、マネジメントに値する有用な形式知を見つけします。
こうした得た形式知を組み合わせた結果をアイデア集としてまとめ組織内で共有し、実践によって暗黙知として腹に落とす。この繰り返しが、個人レベルの『コツ』や『ノウハウ』の中から組織の知識とし創造するプロセスになるのです。
以上、知識を創るプロセスを紹介しましたが、自分が得た知識は暗黙知か形式知か、どのように活用し新たに創造していくか。今後の知識の習得について、考えるきっかけとなれば幸いです。