もう一度ちゃんと理解しておきたいコストの話
2015年04月13日
以前、経営とは何かについてお話しした際に、会社の目的は「利益の獲得」であり、言い換えればドラッカー氏の言う「顧客の創造」だと説明しました。
今回は、利益の獲得に大きなかかわりを持つ、「コスト」についてお話ししてみたいと思います。
利益 = 売上 - コスト
利益の源泉がお客様への売上であることは間違いありませんね。製品や商品、サービスを売り上げることによって利益が得られるからです。したがって経営者が最も重視するのが「売上」であるのはよく理解できます。しかし、忘れてはならないことがもう一つあります。売上と同じくらい重視しなければならないこと、それが「コスト」です。
見出しに掲げた利益を生み出す計算式( 利益 = 売上 - コスト )、わざわざ掲げるまでもないこの常識的な計算式からもわかるように、コストは利益の大きさを決定する大きな要素です。
当たり前のことを言うなとお叱りを受けそうですが、このことを軽視している経営者の方が意外と多いのです。
特に営業畑出身の社長さんの場合、体育系のノリで得意分野にのめりこみ、売上さえ上げていればすべてOK、財務・経理は後回しの営業至上主義というケースが時折見受けられます。
売上が上がらなければ始まらないのは事実です。最重要事項であることには間違いありませんが、社長の仕事はそれだけではありません。
コストの種類
ここまで漠然と「コスト」という言い方をしてきましたが、少し会計的に整理してから先に進むことにしましょう。売上から差し引かれるコストにはいくつか種類があります。
お手元に損益計算書があれば見てください。まず売上から引かれるのは「売上原価」です。
「売上原価」は売上に対応して発生するコストで、製造業の場合は「製造原価」、小売業などの場合は「商品仕入原価」です。この段階の利益を「売上総利益」と言います。
次に引かれるコストは「販売費及び一般管理費」。人件費、家賃、旅費交通費など、会社を運営していくために必要となるコストです。そしてこの段階の利益を「営業利益」と言います。
そして、支払利息や受取利息など「営業外損益」を加減算して「経常利益」が決まり、更に資産の破棄や売却による「特別損益」を加減算して「税引き前当期利益」、最後に税金を引いて「税引き後当期利益」となります。
いかがですか、ひとくちにコストと言ってもこれだけあるのです。
今回は特に目を向けてほしいコストとして、「売上原価」のうち「製造原価」についてお話をしていきます。