製造原価を下げる3つの要素

2015年04月20日

前回は、利益の大きさを決める重要な要因の一つとして「コスト」を忘れてはいけないこと、またコストと言っても様々あり、その中でも「製品原価」については「製造の総費用」と「製造の総数量」の2つの要素によってその大きさが決まることをお話ししました。
今回は、製品原価を下げるいくつかの具体的な考え方を、この2つの要素ごとにお話しします。
 

製造の総費用を下げる(分子を小さくする)

製品原価の数式をもう一度確認してください。
 
 
                    製造の総費用
製品1つあたりの製造原価 (製品原価)= ―――――――
                    製造の総数量

 
当たり前のことですが、製造の総費用を下げることで製品一つ当たりの製造原価は低下します。
では、その分子を削減するには、どのような方策が考えられるか、これからご紹介していきましょう。
 

1.材料費を減らす

製造原価は大きく3つの種類に分けられます。それは原価の3要素と呼ばれる「材料費」「労務費」「経費」の3つです。
まず、3要素の一番目である材料費の削減です。方法としては次のようなものがあります。
 
➢ 仕入先に対して値引きを要求する
仕入先のいい値で材料を調達していませんか? 市場の相場を把握していますか?
 
➢ 相見積(競争見積)をとり、最安値の仕入先から調達する
値引き交渉に応じてくれない仕入先がある場合、他社と競わせてみましょう。
 
➢ 年間契約等により長期的な仕入価格を取り決める
個別の取引ごとに相見積もりを取るのも有効ですが、長期的な視点から仕入先を絞り込み、それを条件に価格交渉をすることも有効な方法です。
 
➢ 定期的に仕入先を見直す
定期的に仕入先を見直すのは、仕入先との安定的な関係を大切にしつつ、馴れ合いにならないためにも必要です。
 
➢ 同業者と共同購買を行い、規模の経済で仕入価格を下げる
同業種が集まる工業団地などでは実現可能性が高い取り組みです。
 
➢ 仕入先をよく知り、指値で交渉する
例えば、仕入先が製造業(例えば部品メーカー)の場合、仕入先の製造方法などをよく理解することで適正な価格帯がわかるようになります。そのために購買担当者は頻繁に仕入先を訪れて、仕入先のことをよく知る必要があります。指値で価格交渉ができるようになることが理想です。更に進めば、仕入先と共同でコストダウンということも考えられるようになります。
 
➢ モノを変える(代替物)
今使っている材料は本当に適切なものですか?
他にもっと廉価で代わりになるモノはありませんか?
購買担当者には、常に製造部門とコミュニケーションをとり、こういった視点でコストダウンのチャンスを探ることが求められます。
 
➢ 共通化、標準化
製品ごとに異なる部品を使用する場合と、複数の製品で共通の部品を使用する場合では、部品の調達価格に差が出るのは明らかです。製品開発の段階から材料や部品の共通化、標準化を図りましょう。
 
➢ 原材料の必要量や部品点数を減らす
これも開発段階から考慮しておく必要があります。
 
➢ 材料歩留まりを向上させる
部材の送りピッチの短縮、多数個取り、ホットランナー化など無駄になる材料を減らすことでコストダウンします。

エバーグッド・コンサルティング 代表 中小企業診断士/認定経営革新等支援機関  首藤愼一 執筆者紹介

エバーグッド・コンサルティング 代表 中小企業診断士/認定経営革新等支援機関  首藤愼一

経営改善計画策定支援、経営革新計画策定支援、各種補助金(ものづくり、創業etc)の申請支援など、製造業から小売業まで業種を問わず「中小企業の元気に貢献する」を理念に活動しています。

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