ビッグデータから地方創生を見てみよう
2015年05月14日
4月16日に「地方創生をビジネスに生かす」というタイトルでコラムを書かせていただきました。この直後、4月21日に政府から「地域経済分析システム(RESAS(リーサス))」の提供に関する発表がありました。早速、RESASについて、操作した感想やビジネスへの活用の可能性に関して簡単にコメントさせていただきます。
政府は、各地域の産業活動の実態や人口の動向などの電子情報、いわゆる「ビッグデータ」を「地方創生」の取り組みに活かすため、地域経済分析システム(RESAS(リーサス:Regional Economy (and) Society Analyzing System))の提供を開始しました。
RESASは、国勢調査など各省庁のデータに民間調査会社のデータを組み合わせたシステムです。地方創生の担当である石破茂大臣は、「官民のビッグデータを分かりやすく可視化・見える化をすることで、様々な気づきを持ってもらいたい」とコメントしています。
RESASは、人口減少への対応や地方創生という大きな課題に直面し、27年度中に地方版総合戦略を策定しなければならない地方自治体に対し、総合戦略策定の前提となるデータ分析を支援することを一番の目的としています。
総合戦略においては、このデータの分析結果から、自らの地域の強み・弱みなどの特性を捉えた上で、数値目標・KPI(重要業績評価指標)の設定、PDCAサイクルの確立などに関する記載が求められています。
そこでRESASは、都道府県・市町村ごとの産業や企業の実態といった産業構造のほか、人口の現状と将来推計、域内企業経営者の平均年齢や地域の有効求人倍率といった雇用統計など、地域経済に関するあらゆる情報を網羅しています。また、システムを使った分析結果をグラフ化することや別の自治体と比較することも可能となっています。
加えて、データ分析による副次的な効果も期待されます。
例えば、ある地方の中核産業だと考えられていたものが、経済規模としては意外に小さなものであるということがデータから認識されるかもしれません。
あるいは、地域の観光名所において旅行者の行動を分析することで、より質の高いサービス提供や周遊ルート構築のヒントが掴める可能性も考えられます。
ビッグデータによる分析の目的は、地方の課題と活性化のカギを、誰にも明らかな形で見える化をすることです。これまでの自治体の担当者目線のみで策定されていた主観的な施策では見えなかった点を客観的なデータから検証することで、思いがけずに様々な事実が浮き彫りになり、新たなビジネスチャンスにつながる、といった効果が大いに期待できます。