複数の案から一つしか選べない場合はどう考えればいいか?
2015年05月29日
損得学のススメ(9)です。前回に引き続き、複数の「案」から一番得をする案を選択するための法則を解説します。
前回は、「独立案」についてでした。今回は、「排反案(はいはんあん)」です。
排反案は、複数の案の中からどれか一つしか選択できないケースが該当します。
例えば、ある企業は、生産ライン全体の改造を検討しています。選択肢として、手動案、半自動案、全自動案の3案があります。しかしながら、ラインを一定期間止めて改造するため、3案のうち採用できるのは1案に限られます。
即ち、代替案の中から最も有利な案を一つ選ぶと他の案は自動的に断念することにならざるを得ません。これが排反案からの選択になります。
それでは具体的に数字を使った例題から確認してみましょう。
【例題1】
ハラシマさんは、今月、自由に使えるお金を3万円持っています。ある日、知り合いのイリエさんが訪ねてきて、来月までお金を貸してほしいと言ってきました。
彼の申し出は以下のとおりでした。
案1は、1万円を貸すと翌月3,000円利息を払って返済する
案2は、2万円を貸すと翌月5,000円利息を払って返済する
案3は、3万円を貸すと翌月6,000円利息を払って返済する
イリエさんは、この3案のいずれかで借りたいと言っています。
ハラシマさんは、この3案のうち、どの案を選択すると、儲けを最大にすることができるでしょうか。
【考え方】
前回の独立案【例題2】と似ていますが、少しシチュエーションが異なります。
前回は選択の範囲に幅があって、投資案から利益が最大になる案を組み合わせることができました。
今回は設問のとおり、1案の選択しかできません。
では、考え方を整理しましょう。
排反案は、1案しか選べない設定の中で翌月の利益が最大化する案を選択することがポイントになります。上記の表で整理すると案3を選択することが一番有利になります。
今回ご説明している排反案と前回ご説明した独立案とでは、排反案は「1案しか選べない」、独立案は「(制約はあるが)基本的にいくつもの案の組み合わせを選べる」という点が相違点になります。
まずは、この点を頭に入れておいてください。
さて、もう1題、排反案に関する複数案からの選択問題を出題します。いっしょに考えてみましょう。