マニュアルと標準作業

2015年06月08日

仕事のレベルを一定に保つって、すごく難しいですよね。
マネージャー的立場の人は、それぞれ違う経験や能力を持つ担当者が、極力、同じ目線、同じ手順、同じ時間で仕事を行い、同じ結果を出せるよう日々心血を注ぐ必要があります。
最低限の取り組みとして、作業手順や対応方法を紙にまとめ、メンバー間で共有をしていることは多いと思います。
 
この「紙」を、マニュアルとして位置づけている企業、組織も多いのではないでしょうか。
 
今回、ご紹介することは、「マニュアル」を作る前にやることがある、「マニュアル」と作業の「標準」は似て非なるものである、ということです。
 

「標準」は、マニュアルとは違う

 
『トヨタ仕事の基本大全(OJTソリューションズ(著)中経出版(刊)2015.2)』では、生産部門だけでなく様々な分野で「トヨタ生産方式」が活用できるように、考え方をわかりやすく解説しています。
 
その本の中で、『「標準」は、マニュアルとは違う』という項目があります。
概要を一言でいうと、両者の違いを現場での取り扱いで区分しています。
 
マニュアルは現場での変更を認めませんが、標準は現場での変更が認められます。より良い業務に進化させていくためには現場改善が前提になるからです。
改善によってより良い標準へと書き換えることができれば、それが新しい標準になる。改善への取り組みを重ねることでスパイラルにレベルの向上を目指していくイメージでしょうか。
 
形式にこだわって堅苦しくマニュアルを整備しようと考える前に、まずは、業務の一単位として、作業の標準を考えてみましょう。
 

標準とは?

 
ここでいう標準とは、仕事を「安全に行う、正確に行う、効率的に行う」ための一つの指標と捉えてください。
 
標準を考えるとき、生産現場での取組事例が参考になります。
 
生産管理の現場では、良い品質のモノを安く、安定的に作っていくための道具として作業の標準化を進めています。
特に繰り返し作業で人の作業が中心になる場合は、人の動作を中心にムダを省いて本当の意味での仕事だけ集め、ムダのない手順で繰り返し同じ条件で作業ができるよう生産現場での工夫がなされています。
こうした取り組みをトヨタ生産方式では「標準作業」と呼んでおり、物の造り方・改善・管理の仕方などの根本としています。

 中小企業診断士 アンドウ・ユタカ 執筆者紹介

 中小企業診断士 アンドウ・ユタカ

資金調達や財務分析に長年取り組んできた経験を生かし、「経営で生じた会計・ファイナンスの疑問点をシンプルにわかりやすく解説すること」をモットーに、企業内診断士として活動しています。

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