マニュアルと標準作業
2015年06月08日
標準作業の3要素
標準作業では、①タクトタイム、②作業順序、③標準手待ちを予め作成しておきます。
これらを標準作業の3要素といいます。それぞれの概要は次のとおりです。
①タクトタイム
1台または部品1個を、何分何秒で造らなければいけないかという基準時間
②作業順序
物を加工したり、組み付けたりする場合、作業者が物を運び、機械に取付けたり、外したり、部品を組み付けていく順序
③標準手持ち
同じ手順で、繰り返し作業を行うために、どうしても必要な工程内での最小限の手持ち
皆さんが担当する作業を進めていく上で、①標準となる作業時間、②手順、③作業上最低限に用意しておく時間や道具、在庫、などは把握していると思います。これらを標準作業としてまとめておくのです。
こうしてまとめた標準作業であっても、業務内容は様々な条件下において、常に変化、進化するので、直ちに見直していかないと、すぐに役に立たなくなります。
この見直しこそが改善活動です。特にトラブル対応やイレギュラーな処理をした時は、改善のきっかけになります。
こうしたトラブルへの対応において、踏まえておきたい行動があります。
まず、直ちに現状を把握することです。
「三直三現」という言葉がありますが、「直ちに現場へ行き、直ちに現物を見、直ちに現象を確認する」ことを実行します。
この取り組みが早ければ早いほど、トラブルが発生した現場から事実を知り、速やかなデータ収集が可能となるため、問題の事実関係や事象を的確につかみ、その原因追求に向けた糸口につながります。
この取り組みは、スピード感が重要です。
なぜなら、時間が経過することで、現場の状況が変わってしまうこと、思い込みなどの先入観がでてしまうこと、などから、トラブルの原因、異常の現実をありのままに直視することできず、有効なデータ収集が難しくなるからです。
さて、スピード感を持って収集したデータを分析した後は、トラブルの原因追及に移ります。
ここでの重要な行動としては、問題の原因を二つの種類に分けるということです。
原因は、「要因」と「真因」が分けられます。
要因は何か問題が発生したときの理由のことです。これを解消しただけでは問題が再発する場合があります。表面的な原因です。
真因とは、問題を発生させる真の要因のことです。これに有効な対策が打てれば二度と再発しません。この真因を追究することが改善への第1歩になります。
真因にたどり着く具体的な手法としては、「5つのなぜ」、「なぜなぜ分析」といったものがあります。
今回は、マニュアルと標準作業の違いについてご説明しました。
作業手順などを紙にまとめ共有することがゴールではなく、より良い業務をする上でのスタートライン、改善活動の原点と認識していただければ幸いです。