『効率』を考えて損得判断する

2015年07月31日

前回分から読む

 

損得学のススメも今回が最終回となりました。
ここ数回、「排反案」「独立案」からの選択問題を解説してきましたが、今回はそのまとめとして、『効率』を使った損得判断を解説します。
 

独立案には、「基本原則」が使えない?

毎回しつこいくらいに説明してきましたが、損得判断の基本原則は以下のとおりです。
 
【損得判断の基本原則】
第1原則 ⇒ 比較の対象を明確にする
第2原則 ⇒ 収益の違い − 費用の違い = 利益の違い

    比較の対象の間で、お金の流れに着目し、
    収益の違いと費用の違いをそれぞれ総額でとらえる
 
損得判断では、利益の総額が最も大きな案を選択します。
「排反案」は、1案しか選べない中で利益を最大化するものを基準に判断するというものでした。
一方、「独立案」は、いくつもの案を組み合わせて最適となる案を選ぶので、各案の利益の額を比較するだけでは判断できないというものでした。つまり、「基本原則」による尺度が役に立たないのです。
 

貴重な資源を有効に使う判断基準

独立案では、資源に制約がある中で選択できる案は限られています。そこで順番を決めて選択する必要があります。その順番を決める基準が「効率」になります。まずは、損得学における効率の定義式を紹介します。
 
vol.11-00
 
では、効率を使った例題から損得判断を考えてみましょう。
 
【例題】
軽トラックを使って営業している部材屋さんがいます。一回のトラックに積める荷物には限りがあり、かつ、想定しうる中で最大の利益を上げなければなりません。部材屋さんは、次のリストから当日の朝に配達する商品を選びます。
軽トラックの積載重量は350㎏です。全て当日中に売り切ることを前提に、どんな商品を積み込めばいいでしょうか。
 
<商品リスト>

vol.11-01

 中小企業診断士 アンドウ・ユタカ 執筆者紹介

 中小企業診断士 アンドウ・ユタカ

資金調達や財務分析に長年取り組んできた経験を生かし、「経営で生じた会計・ファイナンスの疑問点をシンプルにわかりやすく解説すること」をモットーに、企業内診断士として活動しています。

アンドウ・ユタカ先生のコラム一覧へ≫