比較する相手を知ろう
2015年08月20日
異種の数値を比較する
1.構成値を比較
「全体値」の中に占める「部分値」の割合を構成比率といいます。例えば、損益計算書の売上高に対する粗利(売上総利益)の割合、つまり粗利率がその一例です。先に例として挙げた売上高経常利益率、これも売上高に対する経常利益の割合ですから構成比率ですね。
つまり、売上高と粗利、あるいは売上高と経常利益と言った種類の異なる数値を比較していますので、異種の数値の比較です。
2.項目相互の値を比較
構成比率は、「全体値」とその「部分値」との比較でしたが、「部分値」同士を比較し求めたその割合を構成比率といいます。この比率は損益計算書や貸借対照表などの諸項目、例えば流動資産、固定資産、流動負債などの項目同士の関係を求めることによって得られる比率です。いくつか例を挙げておきます。
①貸借対照表の諸項目間の比率の例:
固定比率(%)=固定資産÷自己資本
流動比率(%)=流動資産÷流動負債
②貸借対照表と損益計算書の諸項目間の比率:
総資本回転率(回)=売上高÷総資産
これらは、経営分析でよく使われる経営指標ですが、経営分析指標については、この後の回で改めてお話ししますので、ここではこんなものがあるのかくらいに理解しておいていただければ構いません。
ここまで「計数管理の基礎」についてお話してきましたが、ここで少し復習をしておきましょう。
1. 計数の基本的読み方は「比較」である。
2. 比較の方法としては「差額」「増減率」「トレンド」の3つが主なものである。
3. 比較の相手には大きく「同種の数値」と「異種の数値」がある。
4. 同種の数値については、「時系列の値」「同業他社の値」「平均値・標準値」「理想値」「目標値」がある。
5. 異種の数値とは「全体値」「部分値」であり、全体値に占める部分値の割合を「構成比率」と言い、部分値同士の割合を「相互比率」という。
次回は「計数管理の基礎」としてもう一つだけ扱い、次のテーマである「損益計算書、貸借対照表」のお話に移っていく予定です。
では今回はここまでといたします。