いかにして赤字経営を黒字に転換させたか?

2015年09月10日

みなさんこんにちは。中小企業診断士の專田政樹と申します。
前回は経費削減の考え方のお話をさせて頂きましたので、今回は具体的な事例を踏まえてお話していきたと思います。

 
前回分から読む
 

経費削減の実施

さて、ある会社の事例です。規模的には売上金額約5億円、営業利益が▲1000万円(▲2.0%)といった状況です。
こちらの会社は次期に何としても黒字に転換させる事を目標にしていました。主要取引先は約90%強を1社に依存しています。安定はしていましたが、大きく拡大する可能性も低いです。
そこで黒字転換を図る為「経費削減」を実施しようという、よくある流れとなった訳です。
 
この時、最初に実施したのは、目的の整理です。
当たり前の話ですが、経費削減が最終目的ではなく、利益改善を果たし、投資を積極的に行い、事業をより良く変えていくこと、が狙いです。
現状を分析すると優先順位上最初に経費の適正化を図り、無駄使いをなくすことがら始めましょう…というのを第1STEPとした訳です。
 

やめるものの見極め

では、具体的な施策の検討に入ります。
最初に議論になった事は【やめられるもの】はないか、です。
最も安易に効果が出ますが、そもそもあってはいけない話で、ひと昔前ならいざしらず、この厳しい時代ですから、すでに不要なものなど残してあるようでははいけません(この時は、これはいらないと即断できるものは数万円レベルでした)。
 
この手の議論で失敗するケースは、必要なものであったとしても「経費削減の為にやめましょう」という話がでてくることで、それは事業の質の低下の原因を作り、長い目でみた悪影響を及ぼします。いわゆるバッドスパイラルです。
ちょっと極端な表現ですがサラリーマン病にかかっていると、「◯◯円削減しました報告をあげる」という社内パフォーマンス上のジレンマに陥り、あとからまたやればいいから、とにかく一度やめるかたちで報告をあげよう…という現象がでてきます。職場のモラルやモチベーションを含め、マイナス効果満載です。
 
という事で、「何かをやめる」という手法は、本当に不要なものに絞って、次のSTEPに移ります。
 

経費明細を徹底的にチェックする

次にこの会社がやった事は経費明細の徹底チェックです。
まずはセオリー通りに進めました。勘定科目別の費用増減をしらべ、問題がありそうなところのあたりをつけます。これは普通の話です。
 
さて、ここから手間をかけていきます。
勘定科目別に内訳を調べていきましょう。
「何につかっているか?」「単価はいくらくらいか?」「頻度はどれくらいか?」「誰が使っているか?」「誰が承認しているか?」「承認者の承認の根拠は何なのか?」…といった具合です。

 中小企業診断士 專田政樹 執筆者紹介

 中小企業診断士 專田政樹

セブン&アイ グループにて蓄積した知見を活かし、マーケティング・店舗運営管理分野で企業支援を実施。またシンクタンクでの実務経験を活かした管理部門(経営企画、財務経理、組織人事等)のワンストップ支援を行い、質を維持したコスト削減等の経営体質強化が得意。
 
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