いかにして赤字経営を黒字に転換させたか?

2015年09月10日

余計な経費の原因は?

例えば、通信費で言えばこの会社の場合は、オフィスの通信費以外でかかっていたものに、海外出張時の携帯通話料金や、Wi-Fi利用料が入っていました。そして時々イレギュラーな金額が発生しています。
その原因をひとつひとつ調べていきました。分かったのは、①人災、②仕組み、この2点に問題があった事です。
 
①についてはこんな事が起こっていました。
基本的に社員は皆、海外出張時に社用携帯を持って行っても、細かく気をつかって最小限の利用に留めていました。それなのに何故イレギュラーな金額が発生したのでしょうか?
それは、受けの電話でも料金がかかる事を知らなかったからです。国内であれば電話の受け手は料金がかからないイメージですよね。アメリカ出張に行っている社員同士がアメリカ対アメリカで電話をしても同じです。
ですが、日本からアメリカにかけた場合、両者(かけ手にも受け手にも)に料金が発生します。
それを知らなかった社員が、受けている分には大丈夫だと思い、業務の打合せを電話でしていたというケースです。悪気は無かったのでしょうが。
 
こういった案件が何件もありました。これに対しては、周知徹底というアクションを起こします。
どのタイミングで注意するかをしっかりと決めます。
個別の頻度がそこまで高くない海外出張では、「出張申請時にこういう事が発生していますので」と注意を促します。また出発直前にももう一度、「長い要件はメールでやりとりをして下さいね」と伝えるタイミングをルール化する必要があります。
 
次の②については、Wi-Fiの仕組みを知らなかったことが問題でした。
スマートフォン時代に入ると、現地で検索や地図を使用したいという事に当然なり、それぞれ個々に空港で借りるという事が始まっていました。そうです。高いも安いもあまり気にせず無頓着(自分の旅行で借りるなら細かく調べるはずですが)に、借り方も、保険の掛け方もバラバラでした。あとから追徴を受けたり、不要な分まで借りていたり。まあ会社側もルールの設定もしていませんでしたし、仕方がなかったのかもしれません。
 

やみくもに安くすればいいわけではない

さあ、ここから先はどうやったら安くなるかに挑戦です。最適なプランは何なのかを調べます。
法人契約先を探して相見積をとって料金が安くアフターケアの良い取引先を探しました。
そして予備バッテリーはレンタルではなく、備品として購入し、貸出制にしました。結果、経費は適正化され、今まで予備バッテリーを我慢していた人も持って行くことができるようになりました。
 
ということで、利便性は下げることなく適正レベルで費用の均一化を図り、結果経費削減となりました。これで①約15万円、②約20万のコスト削減を達成したのです。
 
このような活動をコツコツと積み重ねていくわけです。大変といえば大変ですが、全員のコスト意識も高まりますし、サービスレベルは落とさず、むしろ利便性を高めていきます。
 
さて今回はここまでにします。次回もこんな事が見つかって、こう改善したという事例を具体的に紹介していきます。
 
え、これだけ書いてまだ35万しか減ってない?
たしかにおっしゃるとおりです。でもこの会社、取り組み始めて目標をしっかりと達成、1年で年度決算の営業利益をプラス200万までもっていきました。
 
今回は金額の小さいものを紹介しましたが、次回はもう少し大きいものを紹介していきます。
乞うご期待!

 中小企業診断士 專田政樹 執筆者紹介

 中小企業診断士 專田政樹

セブン&アイ グループにて蓄積した知見を活かし、マーケティング・店舗運営管理分野で企業支援を実施。またシンクタンクでの実務経験を活かした管理部門(経営企画、財務経理、組織人事等)のワンストップ支援を行い、質を維持したコスト削減等の経営体質強化が得意。
 
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