起業をするなら個人にする? 法人にする?
2015年09月28日
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つい先日も起業相談を受けたところですが、春に続いて、秋は起業を考える人が多いような気がします(私個人の勝手な印象ですが・・・)。
弊事務所でのここ1年間の起業案件を振り返ってみると、件数的には、個人事業VS法人設立はほぼ同数で推移しています。
どちらの形態の方が良いかは一概には言えませんので、下記に挙げる項目を参考にしつつ、起業をされる方の状況に照らし合わせて選択をしてみてください。
Q:事業を始めやすいのは?
間違いなく個人事業でしょう。個人事業なら「じゃあ、今日から始めようかなー」と思っても始めちゃうことができます。
通帳も、もともと持っている個人の通帳を事業に使うことができます(事業の取引履歴や儲けが分かりやすいように専用の通帳を使うのがおすすめではありますが)。
税務署への届出は「起業を考えたら注意したいこと~個人事業主・会計・税務編~」を参考に、特に青色申告関係は必ず期限内に提出するようにしましょう。
一方で、法人は個人事業のように簡単にはいきません。まず事業の器である「法人」を作る必要があります。
ほとんどの場合が、「株式会社」や「合同会社」を設立することになると思いますが、法人登記をするためには、株式会社では約20万円~、合同会社では約6万円~とそれぞれ実費が必要になります。
法人設立登記の申請をして、登記完了後に法人の通帳を作ることができますが、最近では金融機関の審査も厳しくなってきており、口座開設まで数日かかることもあります。
このように法人で事業を始めようとする場合は、少なくとも1ヶ月ほどの準備期間は欲しいところです。
Q:信頼性が高いのは?
間違いなく法人でしょう。コストをかけて法人という器を作った分、対外的な信用性は高くなります。得意先からの要請により個人事業から法人成りをするケースも多くみられます。また広告サービスやWEBサービスの一部には個人事業だと契約ができないものもあります。
さらに、いい人材を獲得しよう! と考えたときも、法人形態の方が有利になります。
法人の場合は規模にかかわらず社会保険に強制加入となりますし、組織がよりしっかりするため福利厚生も充実していることが多くなります。
もちろん、個人事業でも社会保険加入や就業規則の整備、退職金制度加入ができますので、福利厚生を充実させ求職者へアピールすることでいい人材を獲得することは可能です。
Q:税金的にはどっちが有利?
一般的な回答としてはある程度の「所得=収入△経費」がでてくると、法人の方が有利となるケースが多いと思われます。起業本などで、〇〇〇万円を超えると法人設立が有利です、と記述してあるものも見られますが、注意したいのは、
「社会保険料の負担も考慮する」
「法人税や所得税の税率は改正がある」
「身内で給与を支給できる人が何人いるか?」
「何年事業をやって、いつ退職するか?(退職金をとるか?)」
などによって、生涯手取り額が大きく変わってくることです。
ライフプランならぬビジネスプランを描き、シミュレーションをしてみるといいですね(自分でやると結構大変な上に、あたるかわからないという・・・)。
特に大きな投資をして事業を始める人は、このビジネスプラン(事業計画)は必ず作りましょう!
次回も引き続いて、「個人事業」と「法人」の違いについてふれてみたいと思います。