ビジネスは『ニッチ』で勝負

2015年10月13日

「量」と「質」から考えるニッチ戦略

競争戦略の研究者である山田英夫氏の近著「競争しない競争戦略」(日本経済新聞出版社刊(2015.3))では、ニッチ戦略を質と量の軸から多面的に解説しています。以下の3つ事象からニッチ戦略を分類しますので、参考にしてください。
 
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①質限定のニッチ(質=高&量=低)

他社が真似できないハイレベルな技術や特定の業界、チャネルで勝負する。

(例:伝統工芸、特殊加工、顧客が特定される業界団体・学校相手など)

 

②量限定のニッチ(質=低&量=高)

限られたエリア、限られた時間、大手が手を出さない小さな市場で勝負する。

(例:地域の規制、観光地、深夜の営業・作業、競技人口が少ないスポーツ、在住人口が少ない外国人相手など)

 

③質・量限定のニッチ(質=高&量=高)

完全オーダーメイドに基づく製品・サービスをトータルにカスタマイズして勝負する。

(例:ハイエンドなファッション・美容・健康、熱狂的な愛好者がいるホビー、希少なペットなど)

 

さて、みなさんのビジネスで扱う製品・サービスはどの事象に分類されますか。または、近いと考えられますか。
 
ニッチは、他社が進出できない参入障壁を高める質的コントロールと市場規模の量的コントロールが実現してはじめて効果が発揮されます。

あえてニッチの領域で、競争しない戦略を選択することにより、低価格競争に翻弄されることなく、組織の体力を温存し、顧客第一のビジネスを実践してみませんか。
 
みなさんのビジネスを先に紹介したいずれかの事象に絞って、経営資源を集中し、高付加価値な製品・サービスを提供することで、たくさん儲けて、ニッチを極めていただきたいと思います。

 

今回は、ニッチについて、戦略の視点からご紹介しました。

実は、ニッチは市場の視点から見ると、製品寿命(プロダクトライフサイクル)とも深い関係にあります。次回は、こちらについて解説したいと思います。

 中小企業診断士 アンドウ・ユタカ 執筆者紹介

 中小企業診断士 アンドウ・ユタカ

資金調達や財務分析に長年取り組んできた経験を生かし、「経営で生じた会計・ファイナンスの疑問点をシンプルにわかりやすく解説すること」をモットーに、企業内診断士として活動しています。

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