採択される補助金申請書の書き方とは?

2015年10月19日

ちょっと考えてみてください。
皆さんはなぜ補助金を申請するのでしょうか。それは実施したい事業があるからですね。
ではなぜその事業をやらねばならないのでしょうか。それは現在抱える問題を解決するため、あるいは成長に必要な課題や目標を達成するためですね。
ストーリーを組み立てるとは、まさになぜ補助金を必要とするのかを説明する上記のような「話の筋立て」を作ることといえます。
 

ストーリーにキーワードを盛り込む

ストーリー(筋立て)を考えたら、その中にキーワードを盛り込みます。
例えば、基本的なストーリーを「自社の紹介 ⇒ 自社を取り巻く外部環境 ⇒ 解決すべき問題、達成すべき課題と目標 ⇒ 課題・目標を達成するために実施する事業 ⇒ 事業完了により期待される効果と将来展望」と組み立てたとしたら、そのストーリーの中でキーワードを使ってゆけばよいのです。
 
具体的な例を以下にお示ししましょう。『○○○○』の部分がキーワードです。
 
1.自社の紹介
まず、自社を簡単に紹介します。申請書に会社の概要を記入する欄がありますが、読み手(審査員)の便宜を考えて、再度冒頭で簡単に触れておきます。
 
2.自社を取り巻く外部環境分析
業界の動向、『ユーザー、マーケット及び市場規模』『市場のニーズ』を記述します。
 
3.解決すべき問題、達成すべき課題と目標
外部環境について語ったら、次は自社についてです。自社が抱えている問題、クリアすべき『(技術的)課題』と目標、『目標に対する達成度の考え方』を明確に記述します。
 
4.課題・目標を達成するために実施する事業
ここでは『技術的課題の解決方法』を具体的に記述します。更にその取り組みがいかに『革新的』『価格的・性能的な優位性や収益性』を持つかを説明します。
『事業実施のための体制』として社内、社外の組織や人材でどのような体制を組むか、事業実施に必要な『技術的能力』は何かについて記述します。
また『遂行方法及びスケジュール』として誰が何をいつまでに実施するのか、ガントチャートなどを使って説明します。
 
5.事業完了により期待される効果と将来展望
『補助事業としての費用対効果』は申請書の中に用意された事業計画表上で『「付加価値額」年率3%』『「経常利益」年率1%』になるように計画数値をつくります。
ただし、なぜその数値が達成できるのかその根拠を説明する必要があります。
 
いかがですか、補助金申請の主要部分である「事業の具体的な内容」の書き方とそのコツについてお話ししました。
上記はあくまでも一つの例ですから、なんにでも適用できるわけではありません。しかし考え方は応用できます。是非活用してください。
 
では、最後に申請書の書き方として、注意してほしい点を幾つかご紹介して今回は終わりにしたいと思います。
 
1.小見出しを活用する
文章はだらだらと長く書けば書くほど、読み手にとっては読みづらいものになります。
上手く文章を構成して、言いたいことの塊ごとに「小見出し」をつけることをお勧めします。
例えば、抽出したキーワードを小見出しする等の工夫をしてみてください。
 
2.ワンセンテンスを短くする
上記でも述べたように、だらだらと長い文章は読み手に良い印象を与えません。それどころか悪印象を残しかねないのです。センテンスもできるだけ短くしましょう。
 
3.専門用語は極力避ける
審査担当者が皆さんの業種に精通しているとは限りません。皆さんにとって当たり前の用語であっても、審査担当者にとっては馴染みのない用語であることの方が多いのです。
使用する際は、注釈をつけておきましょう。
 
4.定量的な説明を心がける
例えば、市場規模についての説明のケースですが、「この事業により生み出される当社の新製品の市場は十分な規模を持っている」というような説明をよく見かけます。
残念ながら、この説明では説得力がありません。なぜならその根拠が示されていないからです。
このような場合は、統計資料や市場調査資料などを引用して、定量的な裏付けを持った説明にするようにしましょう。
 
以上2回にわたって補助金の申請についてお話ししました。
少しでもお役に立てれば幸いです。

エバーグッド・コンサルティング 代表 中小企業診断士/認定経営革新等支援機関  首藤愼一 執筆者紹介

エバーグッド・コンサルティング 代表 中小企業診断士/認定経営革新等支援機関  首藤愼一

経営改善計画策定支援、経営革新計画策定支援、各種補助金(ものづくり、創業etc)の申請支援など、製造業から小売業まで業種を問わず「中小企業の元気に貢献する」を理念に活動しています。

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