印刷費の経費削減を考える

2015年11月05日

みなさんこんにちは。中小企業診断士の專田政樹と申します。
前回に引き続き「経費削減事例について」です。

 
前回分から読む
 

経費削減ポイントの探し方

前回とりあげた「企業で経費削減が可能な項目の分析」をすすめるにあたってのポイントをおさらいしておくと、【経費削減】が目的ではなく、【利益改善】が目的だという事です。
その為利益の源となる売上にマイナス影響がでる可能性がある施策は後回しにして、営業に直接マイナス影響を与えない項目から洗い出しをすすめます。

 

売上に影響を与える項目としてわかりやすいのは販促費です。 金額として、ある程度のかたまりになっており、減らそうと決断すれば直ぐに減らせる為、経費削減に迫られるとこの費用を削ってしまいがちです。

 

しかし、あくまで販売を促進する為の費用なので、ここに手を付ければ当然売上に影響が発生します。売上が落ちてしまうと、経費を削っても最終利益が改善されない可能性があります。粗利額のマイナス分が経費額のマイナス分を上回る恐れがあるからです。
その為、売上に影響を与えない間接費から入るわけです。

 

具体的な事例:【印刷費低減】

では、前回同様、ある会社の事例を見ていきましょう。
売上金額約5億円、営業利益が▲1000万円(▲2.0%)という規模の会社です。次期は何としても黒字に転換させる事を目標にしています。主要取引先は約90%強を1社に依存していて、安定はしていましたが、大きく拡大する可能性も低いという状況です。そこで黒字転換を図る為に「経費削減」を実施しようという流れでした。
前回は、経費明細を徹底的にチェックして、通信費を見直しました。

 

今回紹介するのは印刷費の低減事例です。コピーやプリントアウトにかかる費用の類です。
この会社の場合、セミナー開催時に配布する資料が大量に発生していた為、印刷費は変動経費の中ではかなりボリュームがありました。
そこでこの分野でなんとか費用低減ができないかを分析していきます。この項目に着目する理由は、品質を落とさなければ、売上に悪影響が無い項目だからです。

 

まずは状況把握の為、担当者にインタビューします。
カラーで1枚印刷をしたらいくらかかるのか、などの確認をしていきます。
しかし、1枚あたりの費用はわかりませんでした。月にいくらかかっているかはわかるのですが、実際に1枚がいくらかは把握できていません。これでは高いも安いもわかりません。そこで詳細にわたり調査を始めます。

 中小企業診断士 專田政樹 執筆者紹介

 中小企業診断士 專田政樹

セブン&アイ グループにて蓄積した知見を活かし、マーケティング・店舗運営管理分野で企業支援を実施。またシンクタンクでの実務経験を活かした管理部門(経営企画、財務経理、組織人事等)のワンストップ支援を行い、質を維持したコスト削減等の経営体質強化が得意。
 
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