印刷経費劇的削減の成功例はこれだ!

2015年11月19日

今回は経費削減事例【印刷費低減】の後編になります。
さて劇的に変化した印刷費低減の切り札とは…?

 
前回分から読む
 

経費削減の具体的な事例(前回のおさらい)

前回までに「企業で経費削減が可能な項目の分析」のポイントとして【経費削減】が目的ではなく、【利益改善】が目的であり、直接売上に影響を与えない間接費として印刷費の低減事例を見てきました。

 

売上金額約5億円、営業利益が▲1000万円(▲2.0%)という規模の会社で、主要取引先は約90%強を1社に依存しており、大きく拡大する可能性が低いため「経費削減」を実施しようということで、具体的には、セミナー資料にかかる印刷費を外注から内製に変えることで費用低減が可能になりました。

 

ただ、外注時にはサービスだったホチキス留めが内製にすると作業が発生する(人件費がかかる)ため、ホチキス留めを自動化する設備(約40万円)の導入を検討しました。
そして前回の最後に、更に劇的に金額が低減できる手法が発見されたことをお伝えしました。

 
 

印刷枚数のカウント方法をチェック

ホチキス留めをする設備の購入を検討する中で、内製での印刷の料金体系についてあるポイントが浮かび上がってきました。
それは「1枚あたり」の1枚をどうカウントしているか、です。料金表からは意外とわかりづらいところです。

 

カラーの印刷代は1ページあたり7.6円ですが、紙サイズはA4でもA3でも料金が同じになっていました(あくまで事例企業の場合ですのでご注意ください。街にある出力センターの大手を調べると、B5とA4は同じ金額でしたがA3は別料金となっていました。自社の場合はどうなのか、調べてみてください)。

 

A3とA4の印刷料金が同じであることが及ぼす効果は、印刷物のメインがA4サイズだったこの企業では絶大でした。A3用紙にA4原稿を2面印刷することができるということです。
紙代はA4より高くはなりますが、A4では表裏2ページ分に対し、A3用紙なら表裏で4ページ分印刷が可能です。

 

しかもホチキス留めの自動化を検討していた機材に、二つ折り中綴じ印刷機能がついていたため、A3を二つ折りにする工数はかかりませんでした。
マイナス影響部分は、通常のホチキス留め用の芯よりも中綴じ用のホチキスの芯の方がわずかに高価であることくらいです。

 

劇的な効果を計算してみよう

A4、1ページあたりの印刷単価を計算すると、A4用紙1枚に両面(2ページ)印刷すると【1枚あたり印刷費7.6円×2+紙代0.46円=15.66円】です。
一方、A3用紙を使用すると【片面に2ページ分印刷して7.6円+紙代が1.28円=8,88円】です。費用は約45%低減しました。

 

これを4ページ印刷してみます。
A4用紙(両面を2枚)なら【(印刷費7.6×2+紙代0.46)×2=31.32円】で、1枚あたり7.83円です。
A3用紙なら【印刷費7.6×2+1.28=16.48円】で、1枚あたり4.12円です。
A4片面刷りだと2枚8.06円ですから、1枚あたり50%弱の低減に達します。
もっと言えば、外注時は1枚あたり24.8円だったのが、内製化により最も効率の良い時は4.12円で印刷することができるようになったのです。
仕組みを理解して上手く運用すると、これだけ結果が変わるのです。

 中小企業診断士 專田政樹 執筆者紹介

 中小企業診断士 專田政樹

セブン&アイ グループにて蓄積した知見を活かし、マーケティング・店舗運営管理分野で企業支援を実施。またシンクタンクでの実務経験を活かした管理部門(経営企画、財務経理、組織人事等)のワンストップ支援を行い、質を維持したコスト削減等の経営体質強化が得意。
 
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