効率的な仕事は「段取り」がすべて
2015年12月11日
今回は、仕事の「段取り」について考えてみます。
「段取り」を広い意味でとらえると、物事を行う順序や方法を決め、準備するということになります。
「段取り」をイメージしていただくため、料理に例えてみます。
炒め物を作る際、普通に準備というと、材料や調味料、道具を揃えることになります。
これに対して「段取り」は、火の通り具合を考えて材料を切り揃えたり、予め調味料を配合したり、鍋を熱しておいたりというように、料理を美味しく、手早く作るための準備段階でのひと手間や工夫とご理解ください。
このコラムでは、段取り=準備+αの視点から、効率的な仕事につながる心構えや工夫について整理したいと思います。
「段取り八分、仕事二分」
大工や職人、漁師などの仕事ぶりを言い表す「段取り八分」という言葉があります。これは、段取りが完全に終われば仕事の8割は終わったことも同然という意味です。
Webで段取りを検索すると、仕事術やノウハウを紹介するページがヒットします。
実は、この段取り、トヨタのJIT(ジャスト・イン・タイム)など、生産管理や経営管理の手法において、効率化の重要なテーマの一つとして扱われているのです。
このコラムをご覧いただいている方の中でも、商業やサービス業、起業家の方には、あまり馴染みがないかもしれませんので、その一端を参考までにご紹介します。
製造現場での「段取り」
製造現場(工場)では、QCDを重要視します。QCDすなわちQuality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)、この3要素における管理手法や生産技術を高めることにより生産性をアップし、企業の成長、経営の安定を実現するという考え方です。
QCDの水準を維持するためには、しっかりとした段取り作業が不可欠です。
製造現場での段取りとは、品種や工程内容が変わる際に生じる作業をいいます。プレス金型やドリル等の治工具の取り替え、機械装置の調整、組立部品や部材の切り替え、製造前の作業内容の確認や掃除もこれに含まれます。
製造現場では、作業時間の短縮、工数低減、標準化など、生産の効率化に向けた数多くの課題に対して、継続して段取りの改革・改善に取り組むことで解決しています。
ここで、段取り作業における改善活動の手順とポイントを示します。
①段取り作業を分析し仕組みを見える化する
(まずは、機械設備を止めて行う「内段取り」と、止めなくてもできる「外段取り」に作業を分ける)
②段取り作業のムダを取る
③内段取りを外段取り化する
④内段取りの改革・改善⇒カセット方式、ボルトレス、並列段取り替え…
⑤外段取りの改革・改善⇒専用台車化、専担者の設定、5S(整理・整頓)…
⑥直列作業、調整のゼロ化