不法就労外国人を雇用したら処罰されるって本当?

2016年01月08日

3.採用決定後の手続き

①外国人雇用状況の届出
全ての事業主の方に、外国人労働者の雇入れおよび離職の際に、その都度、当該外国人労働者の氏名、在留資格、在留期限等について確認し、ハローワークへ届け出ることが義務付けられています(特別永住者及び在留資格「外交」・「公用」の者を除く)。
提出を怠ったり、虚偽の届出を行った場合には、30万円以下の罰金が課せられます。
 
②届出の方法
A.雇用保険の被保険者となる外国人の場合(雇用保険被保険者資格取得届)
●届出事項
(1)氏名 (2)在留資格 (3)在留期間 (4)生年月日 (5)性別 (6)国籍・地域
(7)資格外活動許可の有無(雇入れ時のみ)
(8)雇入れに係る事業所の名称及び所在地(雇入れ時のみ)
(9)賃金その他の雇用状況に関する事項(雇入れ時のみ)
(10)住所(離職時のみ) (11)離職に係る事業所の名称及び所在地(離職時のみ)
●届出方法:雇用保険被保険者資格取得(喪失)届の「18.備考欄」に記載することで、外国人雇用状況も届け出ることができます。
●届出先 :雇用保険の適用を受けている事業所を管轄するハローワーク
●届出期限:雇入れの場合 → 翌月10日まで
離職の場合 → 翌日から起算して10日以内
 
B.雇用保険の被保険者でない外国人の場合(外国人雇用状況届出書<様式第3号>)
●届出事項
(1)氏名 (2)在留資格 (3)在留期間 (4)生年月日 (5)性別 (6)国籍・地域
(7)資格外活動許可の有無 (雇入れ時のみ)
●届出方法:外国人雇用状況届出書<様式第3号>の届出事項を記載して届出
●届出先 :当該外国人が就労する事業所の所在地を管轄するハローワーク
●届出期限:雇入れ、離職の場合ともに → 翌月末日まで
 
③届出事項の確認方法
・在留カード
・旅券(パスポート)
・資格外活動許可の有無について 
→資格外活動の許可とは、外国人が現に有する在留資格の活動のほかに、収入を伴う活動を行おうとする場合には、あらかじめ入国管理局から資格外活動の許可を受ける必要があります。
「在留カードの裏面」、「旅券(パスポート)の許可証印」、「資格外活動許可書」、「就労資格証明書」により確認できます。
 
確認の際には、「事業主に法律で義務付けられた外国人雇用状況の届出事項である氏名、在留資格、在留期間、生年月日、性別及び国籍を確認するため」とその目的を当該外国人労働者本人に明示の上、外国人労働者本人から直接提示を受けて行うこととします。
 
在留資格の確認は、雇い入れる方について、通常の注意力をもって、その方が外国人であると判断できる場合に行ってください。氏名や言語などから、その方が外国人であることが一般的に明らかでないケースであれば、確認・届出をしなかったからといって、法違反を問われることにはなりません。
なお、通常外国人であると判断できる場合に、在留資格等を確認しなかった場合、指導、勧告及び罰金の対象になるとされています。
 
また、不法就労外国人を雇用した場合は「不法就労助長罪」の定めにより、雇用主は処罰の対象となります。
下記に該当した者については3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又は、これらを併科すると定められています。
 
(1)事業活動に関し、外国人を雇用するなどして不法就労活動をさせる行為
(2)外国人に不法就労活動をさせるために、自己の支配下に置く行為
(3)業として、外国人に不法就労活動をさせる行為、又は(2)の行為に関しあっ旋する行為

 
不法就労外国人であることを知らないで雇用した場合、不法就労であるとはっきり認識していなくても、状況からみてその可能性があるにも関わらず、確認をせずにあえて雇用するような場合等、知らないことに過失があったときも、処罰を免れないことになります。
 
以上、外国人労働者の適正な雇入れについて、既に外国人を雇用している、また今後の雇用を検討している事業主の皆様に、参考にしていただきたいと思います。

横地冬美事務所 特定社会保険労務士・行政書士 横地冬美 執筆者紹介

横地冬美事務所 特定社会保険労務士・行政書士 横地冬美

2003年社会保険労務士、2004年行政書士登録。人事労務のエキスパートとして「正確・迅速・分かりやすく」をモットーに日々業務を行っています。
横地冬美事務所 http://yokochi-office.net

横地冬美先生のコラム一覧へ≫