貸借対照表と損益計算書の効果的な読み方
2016年01月21日
各段階の利益を確認する
最初にすること、それはPLの5つの利益を確認することです。そして計数管理の基礎に則って数字を分析します。
「計数管理の基礎」を覚えておられるでしょうか? そう、比較ですね。
では何と比較しますか? 比較の対象はいろいろありますが、この場合、まずは前期実績です。
もし目標値や計画値を持っておられたら、それらとも比較しましょう。他には業界平均値と比べるのも意味があります。
そして、比較対象との差について、その要因を考えるのです。
例えば売上総利益(粗利)が減少していたら、その要因は「売上自体の減少」なのか「売上原価率の増加」なのか等々、探るのです。その際には以前ご紹介した「要素分解」を行ってみる必要もあるかもしれません。
資産と負債、資本の状態を確認する
PLの5つの利益を確認し増減の要因を分析したら、次はBSの各項目を確認します。
PLの時と同様に前期と比較しましょう。大きく変動している部分があれば、その要因を追究します。
特に注意してほしい項目は在庫です。なぜなら知らず知らずのうちに増えていることが多いからです。製造用の機械装置などの有形固定資産は、設備投資として経営判断に基づき行われるわけですから、気が付かないうちに増えているということはありません。
しかし在庫は日々の仕入れ、日々の生産、日々の販売などの結果として生じるものなので、意識して管理しないと過剰になりがちなのです。
在庫が過剰になることの恐ろしさは、もう皆さんお分かりですね。そうです、資金繰りの悪化です。
対策を講じる
PLとBSの数値を分析し、問題点を発見しその要因を把握したら、対策を講じましょう。
例えば売上総利益は前年並みであったのに営業利益が減少していた場合、その要因が一般管理費のある科目の増加であったと判明したら、その部分に対策を講じるのです。
売上の落ち込みが原因で売上総利益(粗利)が減少したケースで、その要因が営業担当者の顧客訪問回数の落ち込みだと判明したら、なぜ回数が減ったのか更に深堀し、回数を増やすための対策を講じなければなりません。
いかがですか、BSとPLは会社を経営していくうえでとても有用な帳表であることを理解いただけたでしょうか。少なくとも税務申告のためだけに作ればよいものではないことは、お分かりいただけたと思います。せっかく作成するものですから是非有効に利用していただきたいと思います。
さて、経営者のための計数管理として5回にわたってお話をしてきました。
ここまでで、計数管理の基礎そしてBSとPLについて触れてきました。
このほかにも個別のテーマでお話ししたいことはあるのですが、それはまたの機会として一旦このシリーズは今回で終了とさせていただきます。