個人事業主のためのはじめての消費税
2016年05月31日
脱サラをして自分でイチから開業してはじめた事業。今年、初めて売上が1千万円を超えそうだ。さあ、どうしよう?
個人事業主の多くの方が通る道です。
1千万円を超えるとどうやら消費税がかかるらしい、というのはみなさんご存知ですが、具体的なことは何もわからない、という方も多くいらっしゃいます。
今回は、今まで消費税の納税や税務署への届出などといったものに一度も関わったことがないというあなたに、消費税の基本的なお話をわかりやすく解説します。
1.消費税を納めなければならないのはどんな人?
今年、はじめて売上が1千万円を超えたのなら、基本的には再来年から消費税を納めなければなりません。
ただ注意点があります。今年の1月から6月の売上が1千万円を超え、さらに同期間に支払った給与の額が1千万円を超えたという場合は再来年からではなく、来年から消費税を納めなければならないので注意してください。
2.「消費税課税事業者届出書」を提出しましょう
来年か再来年から消費税を納めなければならないことがわかったら、所轄税務署に「消費税課税事業者届出書」を提出しましょう。
来年からの方は「消費税課税事業者届出書(特定期間用)」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/1461_03a.htm
再来年からの方は「消費税課税事業者届出書(基準期間用)」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/1461_03.htm
3.消費税の課税方式を選択しましょう
消費税は、売上などの収入を受け取る際に預った消費税から、仕入などの経費の支出の際に支払った消費税を差し引いた残額を納税します。
基本的に、預った消費税から仮払いした消費税を差し引いた残りを納税するので、自分の負担はない税金なのです。
ところが、その計算をするためには一つひとつの売上、経費について、消費税がかかるものか、かからないものかを紐付けして集計していく必要があり、手計算は少々面倒なので、会計ソフトを使うのが便利です。
また、小規模事業者にそのような煩雑な作業をさせるのは気の毒ということで、簡易課税制度というものもあります。
簡易課税制度は、2年前の売上高(消費税がかかる売上高)が5千万円以下であれば選択することができます。
売上高に、業種別に定められたみなし仕入率を乗じて消費税を計算するだけなので、計算も簡単ですし、原則課税より納める消費税額が少なくて済むケースも多いので人気の制度です。
簡易課税制度を選択する場合は、その適用を受ける年の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出します。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/1461_13.htm
簡易課税を選択した場合は、事業を廃止した場合等を除いて、2年間継続した後でなければ簡易課税制度の選択をやめることができません。
原則課税の場合は特に届け出は必要ありません。
4.消費税の経理処理方式を選択しましょう
いよいよ、消費税を納める年が来たら、会計ソフトで税込経理か税抜経理かを選択しなければなりません。
売上や仕入などの表示を税込表示するか税抜表示するかの違いです。
基本的にはどちらを選択するかで消費税や所得税等の額が変わるということはないのですが、資産を取得した場合の処理などで所得税等の額が変わることもあります。税抜経理の方が損することがないのでオススメです。
いかがでしたか。今回は基本的な内容を確認していただけるよう、あまりふみこんだ話はしていませんが、リンクを貼った国税庁のHPの届出のページに注意点が書いてありますので、よく読んで判断してください。
また、消費税は自分の負担はないとは言っても結構な額になりますので、多くの事業者さんは毎月納税資金を積み立てています。みなさんも参考にしてくださいね。