『業務改善助成金』『キャリアアップ助成金』の助成額拡充!
2016年10月07日
平成28年度 第二次補正予算案が8月下旬に閣議決定され、最低賃金引き上げのための環境整備として、予算案には「業務改善助成金」および「キャリアアップ助成金」等の助成額等の拡充などが盛り込まれましたので、ご説明いたします。
「業務改善助成金」の拡充
業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引き上げを図るための制度です。生産性向上のための設備投資(機械設備、POSシステム等の導入)などを行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部が助成されます。
最低賃金引上げ額 | 助成率 | 助成上限額 | 助成対象事業場内 最低賃金 |
30円以上 | 7/10 ※1
(労働者数が企業全体で30人以下の事業場は3/4) ※1 |
50万円 | 750円未満 |
40円以上 | 70万円 | 800円未満 | |
60円以上
|
1/2
(常時使用する労働者数が企業全体で30人以下の事業場は3/4) |
100万円 | 1000円未満 |
- ※1)生産性要件を満たした場合には3/4(4/5)
≪さらに大幅な最低賃金引き上げを行う場合≫
最低賃金引上げ額 | 助成率 | 助成上限額 | 助成対象事業場内 最低賃金 |
90円以上 | 7/10 ※1
(労働者数が企業全体で30人以下の事業場は3/4) ※1 |
150万円 | 800円以上
1000円未満 |
120円以上 | 200万円 |
- ※1)生産性要件を満たした場合には3/4(4/5)
≪支給のための要件≫
①適用される労働者の賃金を引き上げる計画を作成し、申請後に賃金引上げを行う。
- ※引上げ後の賃金額が、事業場内最低賃金になる事が必要です。
※適用される労働者は、雇入れ後6カ月を経過していること。
②生産性向上のための設備、器具の導入などを行う。 ※社会通念上当然に必要となる経費は対象外。
③事業場内最低賃金が改定後の地域別最低賃金額を下回る場合は①の賃金引上げは、その発効日の前日までに行う。発効日以後に行う場合は、改定後の地域別最低賃金額を上回る事業場内最低賃金を基礎として、上の表に定められた額以上の引き上げを行うこと。
- ※発効日は、都道府県により異なりますのでご注意ください。
「キャリアアップ助成金」の拡充
キャリアアップ助成金は、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップなどを促進するため、正社員化、人材育成、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成する制度です。現行制度の賃金規定等改定(処遇改善コース)が拡充され、中小企業に対する加算措置が創設される予定です(加算措置の創設には、補正予算案の成立、厚生労働省令の改正等が必要なため、現時点ではあくまで予定)。
また、より利用しやすいように支給要件も緩和されました。
≪中小企業に対する加算措置の創設≫
中小企業が基本給の賃金規定等を3%以上増額改定し、昇給した場合、現行制度の助成額に下記金額が加算されます。
◎すべての賃金規定等改定の場合 ⇒ 1人当たり 14,250円
◎一部(雇用形態や職種別等)の賃金規定等改正の場合 ⇒ 1人当たり 7,600円
- ※生産性の向上が認められる場合には、加算額が増額されます。決算書類に基づく生産性の伸び率が一定水準を超えている場合は、18,000円(9,600円)が加算額として支給されます。
※平成28年8月24日以降、上記のとおり取り組んだ事業主が対象となります。
≪支給要件の緩和(平成28年8月5日~)≫
◎キャリアアップ計画書の提出期限の緩和(人材育成コースは、従前のとおり1か月前まで)
〔旧〕「取組実施前1か月まで」 ⇒ 〔新〕「取組実施日まで」 に変更されました。
◎賃金規定等の運用期間の緩和
〔旧〕「改定前の賃金規定等を3か月以上運用していること」
⇒ 〔新〕新たに賃金規定等を作成した場合でも、過去3か月の賃金の実態からみて2%以上増額している事が確認できれば助成対象となります。
◎最低賃金との関係に係る要件緩和
〔旧〕「最低賃金額の公示日以降、賃金規定等の増額分に公示された最低賃金額までの増額分は含めないこと」となっていましたが、
〔新〕「公示日以降」⇒「発効日以降」、「公示された」⇒「発効された」に変更されました。