キャリアアップ助成金ってどんなもの?
2014年09月25日
厚生労働省管轄の助成金や奨励金は、従業員の処遇や職場環境の改善、職業能力の向上を図る場合、仕事と家庭の両立を支援する場合、新たに従業員を雇い入れる場合などに支給されます。
今日はその中のひとつで現在とても申請件数が増えている「キャリアアップ助成金」についてご紹介したいと思います。
「キャリアアップ助成金」は、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップなどを促進するために、正規雇用への転換や人材育成、処遇改善などの取組を実施した事業主に対して助成金が支給される制度で、次の6つのコースがあります。
Ⅰ 正規雇用等転換コース | |
有期契約労働者等を正規雇用等に転換、または派遣労働者を直接雇用した場合に助成 | ①有期契約⇒正規雇用1人あたり30万円(中小企業40万円)②有期契約⇒無期雇用1人あたり15万円(中小企業20万円)③無期雇用⇒正規雇用1人あたり15万円(中小企業20万円)対象者が母子家庭の母等、または父子家庭の父の場合には①10万円、②及び③5万円加算、H28.3.31までに転換等を行った場合には1人あたり①40万円(50万円)③25万円(30万円)支給、H28.3.31までに派遣労働者を正規雇用で直接雇用した場合には10万円加算 |
Ⅱ 人材育成コース | |
有期契約労働者等に対して職業訓練を行った場合に助成 | Off-JT 賃金助成1時間あたり500円(中小企業800円)訓練経費助成 Off-JTの訓練時間数に応じた次の金額100H未満 7万円(中小企業10万円)100H以上200H未満 15万円(中小企業20万円)
200H以上 20万円(中小企業30万円) OJT 訓練実施助成1時間あたり700円(中小企業700円) |
Ⅲ 処遇改善コース | |
有期契約労働者等の賃金水準の向上を図った場合に助成 | 1人あたり7,500円(中小企業1万円)職務評価の手法を活用の場合、1事業所あたり7.5万円加算(中小企業10万円)、H28.3.31までに職務評価を活用した場合、15万円(20万円)支給 |
Ⅳ 健康管理コース | |
有期契約労働者等の法定外の健康診断制度を新たに規定し、述べ4人以上実施した場合に助成 | 1事業所あたり30万円(中小企業40万円) |
Ⅴ 短時間正社員コース | |
短時間正社員に転換、または短時間正社員として新たな雇入れを行った場合に助成 | 1人あたり15万円(常時雇用する労働者が300人を超えない中小規模企業20万円)、H28.3.31までに有期契約労働者等を短時間正社員に転換した場合、1人あたり25万円(30万円) |
Ⅵ 短時間労働者の週所定労働時間延長コース | |
短時間労働者の週所定労働時間の延長を行った場合に助成 | 1人あたり75,000円(中小企業10万円) |
現在日本では労働者全体の30%以上がパート、アルバイト等の非正規雇用労働者として働いています。
もちろんその中には労働者自身が非正規雇用としての働き方を望んでいる場合も含まれます。
しかし、正社員等の正規雇用として働くことを希望しているにもかかわらず働く機会がなく非正規雇用で働いている人が非正規雇用労働者のうちの約20%を占めているといわれています。
非正規雇用の大半は有期雇用契約であるため雇用が不安定であり、また非正規雇用は正規雇用と比較して、賃金が低い、教育訓練を受ける機会が少ない、社会保険等の適用割合が低くセーフティネットが不十分である等の問題点が指摘されています。
このような状況において、正規雇用や無期雇用への転換制度、能力開発のための人材育成制度等の導入はパートタイマーやアルバイト等の非正規労働者の雇用の安定につながり、また仕事に対するモチベーションアップにもつながるものと考えます。
自社の生産性を向上させ、優秀な人材を確保するためにもこの助成金を利用し、非正規雇用労働者のキャリアアップ制度を導入されてみてはいかがでしょうか。
尚、助成金の受給のためにはキャリアアップ計画の作成、認定等が必要であり、また支給要件も細かく定められていますので、詳しくは厚生労働省のHP等でご確認ください。
厚生労働省ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html