後継者難の時代にすべきこと
2014年10月09日
社長の仕事シリーズ(3)事業承継①
自社だけのことでは済まされない事業承継
今回は資金繰りに負けず劣らず大切な社長の仕事である「事業承継」についてお話しします。
少し硬い言葉ですが「会社はゴーイングコンサーン(継続企業)である」という言葉をご存知の方も多いと思います。そして「経済社会はこのゴーイングコンサーンを前提にして動いている」ともいわれます。少し噛み砕いていうと、商売にかかわる者すべてが、会社は永続的に存続するものであると想定する、そしてそれを前提とすれば将来を見据えた取引ができ、将来を見据えた取引ができれば経済は発展する、という理屈です。つまり会社が永続することを前提としたからこそ、経済は発展してきたと言えるのです。
事業を営む者だけでなく、会社に資材等を売る者、製品や商品、サービスを購入する者、会社で働き生計を立てる者、会社に資金を貸し付ける者や出資する者など、みなこの前提に立って活動しています。したがって、この前提を覆し事業を止めることは、そういった関係者に多大な迷惑を及ぼすことを意味します。釈迦に説法かもしれませんが、会社がなくなれば従業員は路頭に迷い、仕入先、銀行、そして何よりもお客様に迷惑をかけることになるのです。
もちろん、自らが苦労して育て上げた会社は後世に残したいという社長の思いも大切です。とても良く分かります。しかし社長の思いだけでは済まされない、それ以上の意味を持つことも認識し直す必要があります。事業承継は、社会的な責務を伴う、社長であれば避けて通れない最も重要な仕事の一つと言えます。
事業承継の現状
ではそれほど大切な仕事である事業承継ですが、近年の状況はどうなっているのでしょう。
調査資料からいくつか数字を紹介しましょう。
まず(株)帝国データバンクの「2014年全国社長分析」にある社長の平均年齢と社長交代率です。同調査によると社長の平均年齢は1990年には54.0才でしたが、その後一貫して上昇し続け、2013年には58.9才となっています。次に社長の交代率(年間で社長交代があった会社の全体に占める割合)ですが、1990年の4.58%が2013年には3.67%まで下がっています。つまり事業承継はどんどんその時期が遅くなり、同時に事業承継の件数も年々減っていることを表しているのです。そしてその原因は「後継者難」にあるとしています。