後継者難の時代にすべきこと
2014年10月09日
この後継者難には、「まったく後継者が見つけられない」ケースもありますが、「後継者もしくは候補はいるが、経営者として育成できない、育成が難しい」ケースも多く含まれるようです。
また、同じく帝国データバンクが2013年に行った「事業承継に関する企業の意識調査」によれば、「計画があり進めている」会社は全体の27.6%、「計画はあるが進めていない」は32.4%、「計画はない」が30.0%、「すでに終えている」6.5%、「わからない」5.5%となっています。ここから言えることは「計画あり」の事業承継を必要としている会社のうち半分以上は、具体的な取り組みに着手できていないということになります。
つまり、事業承継への計画的な取り組みを必要とする企業は全体の6割ですが、その半数以上は具体的な取り組みを始めておらず、その主な要因の一つとしては後継者の決定と育成の難しさがあるということになります。
事業承継は前工程が重要
事業承継とは最終的に後継者へ経営権を渡すことであると言えます。そして子息等への承継であれば贈与や相続の処理、従業員等への承継であれば事業譲渡の処理を必要とします。
これらの処理はとても専門的で、税理士さんや弁護士さんの手助けを得なければ難しいでしょう。しかし逆に言えば、信頼できる専門家に任せればよいわけですから、よほど複雑な事情がない限り社長自身への負荷はそれほど大きくないとも言えます。
むしろ問題はその最終工程へ至るまでにあります。それは事業承継を難しくしている要因の一つとして前段で指摘した、後継者の決定と後継者の育成にかかわる部分です。いわゆる事業承継の前工程というべき部分です。
かつては子供が親の事業を継ぐのは当たり前という時代がありました。しかし今はそういう時代ではありません。今は承継する側の意思が鍵を握ります。
つまり事業承継の前工程として、後継者候補に事業を継ぐ決意をさせることができなければ、先には進めなくなっているのです。
では社長はこの前工程で何をしなければならないのでしょうか。
次回はこれについてお話しすることにします。