地域別の最低賃金が改定されました
2014年10月20日
〜最低賃金制度について〜
今月(2014年10月)、都道府県ごとに定められている地域別最低賃金が改定されました(都道府県ごとに新しい最低賃金額が適用される発効日が異なります)。そこで今日は改めて最低賃金制度の概要についてご説明します。
・最低賃金制度とは?
最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定め、使用者はその最低賃金額以上の賃金を労働者へ支払わなければならない制度のことです。もし最低賃金額より低い賃金で雇用契約を結んだとしても、その部分の契約は無効となり、最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされます。
・最低賃金の種類
最低賃金には、都道府県ごとに定められた地域別最低賃金と特定の産業に従事する労働者を対象に定められた特定(産業別)最低賃金があり、特定(産業別)最低賃金のほうが地域別最低賃金よりも高い金額で定められています。
→地域別最低賃金・・・その都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用される最低賃金です。ちなみにもっとも最低賃金が高いのは東京都で時給888円、次いで神奈川県の時給887円です。
→特定(産業別)最低賃金・・・地域別最低賃金よりも高い金額で最低賃金を定めることが必要と認められる特定の産業について設定されている最低賃金のことです。
平成26年度地域別最低賃金改定状況
・適用される労働者
最低賃金は原則としてすべての労働者に適用されますが、以下のような例外があります。
→特定(産業別)最低賃金が適用されない労働者・・・18歳未満または65歳以上の方、雇入れ後一定期間未満の技能習得中の方、その他その産業に特有の軽易な業務に従事する方
→地域別最低賃金の減額の特例・・・著しく労働能力が低い場合などには都道府県労働局長の許可を受けることにより、最低賃金の減額の特例が認められています。
・派遣労働者の最低賃金
労働者が派遣労働者の場合には、派遣元企業の所在地ではなく、派遣先企業の所在地の地域別最低賃金や特定(産業別)最低賃金が適用されます。したがって、派遣元企業においては、各派遣先企業に適用される最低賃金を把握しておく必要があります。
・対象となる賃金
最低賃金の対象となる賃金は通常の労働時間、労働日に対して支払われる賃金であり、以下の賃金は対象外となります。
①臨時に支払われる賃金(結婚手当等)
②1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)
③所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金等)
④所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金等)
⑤午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金計算額を超える部分(深夜割増賃金等)
⑥精皆手当、通勤手当および家族手当
・地域別最低賃金の決定基準
地域別最低賃金は、①労働者の生計費、②労働者の賃金、③通常の事業の賃金支払能力を総合的に勘案して定められ、労働者が健康的で文化的な最低限度の生活ができるよう生活保護との整合性に配慮することとされています。今年10月の地域別最低賃金の改定により、最低賃金で働いた場合の手取り額が生活保護の水準を下回る「逆転現象」が初めて全都道府県で解消されることになりました。
・最低賃金額の確認方法
支払われる賃金のうち、最低賃金の対象となる賃金と最低賃金額を次の方法で比較します。
①時給制の場合
時給≧最低賃金額(時間額)
②日給制の場合
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
③月給制の場合
月給÷1ヵ月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
④上記①~③の組み合わせの場合
例えば基本給が日給制、各種手当が月給制の場合には、それぞれ上記②、③の計算により時間額に換算し、それらを合計したものと最低賃金額(時間額)を比較します。
以上が最低賃金制度の主な概要です。企業のさらなる発展のためにも、最低賃金制度を正しく理解、運用して、労働者が毎日安心していきいきと働くことができる環境を整えることも大切ではないでしょうか。