法定三帳簿とはどんなもの?
2014年11月06日
みなさん、法定三帳簿とはどのようなものかご存知ですか?
日頃、私のお客様である企業の社長や人事労務の担当者に聞いてみても、3つすべてをきちんと理解されている方は少ないようですので、今日は改めて確認してみたいと思います。
法定三帳簿とは、労働基準法に定められている「労働者名簿」、「賃金台帳」、「出勤簿」のことです。「出勤簿」はどのようなものかおわかりになる方が多いようですが、「労働者名簿」と「賃金台帳」はピンとこない方もいらっしゃるのではないでしょうか。「賃金台帳」については、「源泉徴収簿のことですよね?」と聞かれることもよくあります。残念ながら「賃金台帳」と「源泉徴収簿」は別物です。
それでは法定三帳簿それぞれについて見てみましょう。
「労働者名簿」・・・労働基準法第107条
使用者は本社、本店、営業所等の事業場ごとに各労働者の労働者名簿を作成し、次の事項を記入しておかなければならないことになっています。
①氏名 | ⑥従事する業務の種類(常時30人未満の事業場では不要) |
②生年月日 | ⑦雇入れの年月日 |
③履歴 | ⑧退職の年月日及びその事由(退職の事由が解雇の場合はその理由) |
④性別 | ⑨死亡の年月日及びその原因 |
⑤住所 |
「賃金台帳」・・・労働基準法第108条
使用者は、事業場ごとに賃金台帳を作成し、賃金支払いの都度遅滞なく次の事項を記入しておくことになっています。
①氏名 | ⑤労働時間数 |
②性別 | ⑥時間外、休日労働時間数及び深夜労働の時間数 |
③賃金計算期間 | ⑦基本給、手当その他賃金の種類ごとにその額 |
④労働日数 | ⑧賃金控除の額 |
なお、労働者名簿の記載事項と重複している事項もあるため、労働者名簿と賃金台帳をあわせて作成することが認められています。
また、賃金台帳と源泉徴収簿は異なる帳簿ですが、記載すべき内容がきちんと盛り込まれていれば、兼用とすることも可能です。
「出勤簿」・・・労働基準法第108条
出勤簿は、労働日数、始業・終業時刻、時間外労働など労働時間を適切に把握、管理するための帳簿です。出勤簿に限らず、タイムカードでの時間管理でも構いません。出勤簿の場合に、出勤の有無だけを記録されているケースがありますが、厚生労働省が定めた「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」において、使用者には始業・終業時刻を確認し記録することが求められています。したがって出勤の有無だけを記録しているケースでは、出勤簿とは別に労働時間を適正に把握・管理することが必要となってきます。
以上が法定三帳簿の概要です。これらは作成義務のほか3年間の保存義務もあります(労働基準法第109条)。紙の帳簿に限らず電子データで記録・保存したものでも構いませんが、労働基準監督署から求められたときに、すぐにディスプレイに表示し、写しを提出できる必要があります。
法定三帳簿は雇用保険や社会保険の各種手続きの際に必要となることもありますし、また、厚生労働省管轄の各種助成金・補助金を利用される場合には提出書類となることが多い帳簿です。
みなさんの会社でも作成されているかどうか、記載内容に不備がないか等、再度ご確認いただけたらと思います。