社内にストレスを抱えた従業員を作らないために
2014年11月27日
今年6月に、労働者の安全と健康の確保対策を一層充実させるための「労働安全衛生法の一部を改正する法律」(改正労働安全衛生法)が公布されました。改正項目の中で特に多くの職場に関係のある「ストレスチェック制度」の施行日が平成27年12月1日に決定しましたので、概要をご説明したいと思います。
1.趣旨・目的
精神障害の労災認定件数が3年連続で過去最多を更新する等、仕事で強いストレスを感じている労働者が増えているため、メンタルヘルス不調の未然防止のためにストレスチェック制度が義務化されました。労働者自身がストレスを抱えていないか自己点検するとともに、ストレスの原因となる職場環境の改善も目的としています。
2.具体的な内容
①平成27年12月から労働者が50人以上いる職場では、労働者に対して医師、保健師等によるストレスチェックを実施することが義務となります。
⇒ 労働者が50人未満の職場では当分の間は努力義務となっています。尚、労働者が50人以上いるかどうかは事業場ごとに判断しますので、会社全体で50人以上であったとしても、各事業場が50人未満であれば義務ではありません。
②ストレスチェックの結果は、直接労働者本人に通知され、本人の同意なく事業主に結果が通知されることは禁止されます。
③ストレスチェックの結果、一定の要件に該当する労働者から申出があった場合には、医師の面接指導を実施することが事業主の義務となります。尚、申出を理由とする不利益な取扱いは禁止されます。
⇒ ストレスチェックの結果とは違って、医師の面接指導の結果は労働者の同意なく事業主が知ることができます。これは事業主が必要に応じて労働者の健康確保のための措置を取らなければならないためです。また、不利益な取扱いとしては例えば解雇や減給等が考えられます。
④医師の面接指導の結果、必要となる就業上の措置を取ることが事業主の義務となります。
⇒ 就業上の措置とは、就業場所の変更や労働時間の短縮、深夜業の回数を減らす等のことです。