職場環境を美化し、従業員のモラルを向上させる5つのS
2014年12月08日
5Sとは何か
『5S活動』という言葉をご存知でしょうか。
5Sとは、日本生まれの概念で「整理」、「整頓」、「清掃」、「清潔」、「躾(しつけ)」の5つのローマ字の頭文字からできた言葉です。特に製造業の現場において、職場管理を行う上での基礎・基盤となるものです。
まずは、それぞれの言葉について簡単に説明します。
「整理」⇒必要なものと不要なものに分けて不要なものを捨てること
「整頓」⇒必要なものがいつでも使えるように決められた場所に準備してくこと
「清掃」⇒必要なものに付いた異物を除去することや、必要なものの周りをきれいにすること
「清潔」⇒整理、整頓、清掃が繰り返され、汚れがない状態を維持すること
「躾(しつけ)」⇒決められたルール・手順を正しく守る習慣をつけること
5Sは、工場の現場を円滑に運営していく上での基礎となる大切な活動です。5S活動の実施による直接的なメリットとしては、職場環境の美化、従業員のモラル向上といった点が挙げられます。
このほか、間接的なメリットとして、業務の効率化、クレームにつながる不具合が流出することの未然防止、職場の安全性向上などが挙げられます。これらは、整理・整頓を実行することで職場をよく見るようになり、問題点などの顕在化が進むことでの効果と考えられます。
5Sのレベルが高い企業は、工場における他の管理分野でのレベルも高く、恒常的に黒字を達成している企業も数多く存在しています。
十分な成果が見出せない5S活動
5S活動の要素となる整理・整頓・清掃は私たち自身、子供のころから何度となく教えられてきたことであり、その重要性は皆が認識しているところです。
しかしながら、多くの工場が5S活動に取り組んでいるものの、十分な成果までに至っていないのが現状です。私自身、中小企業診断士として工場をコンサルさせていただく際には、必ず5Sの実施状況を診断していますが、小さな指摘もあわせると殆どのケースにおいて5S活動の改善に関する提案をさせていただいている状況です。
一見簡単とも思える5S活動で、なぜ成果があがらないのでしょう。
理由は、5Sが工場における「根っこ」となる活動だからです。
工場では、経営内容に直結する品質、生産性、納期、在庫などの生産情報について、目標や進捗、結果といったものを数値で指標化し、日々管理を行っています。
一方、5Sをただ実行したからといって経営が好転するわけではありません。日常の中で当然に行われるべき活動であるがゆえに、やったかやらないかという評価は簡単にできますが、経営につながる成果を評価することはとても難しいのです。