職場環境を美化し、従業員のモラルを向上させる5つのS

2014年12月08日

効果ある5S活動にするためには

 

前節で説明したことを植物に例えると、花や実が経営による利益であるなら、生産情報は葉や茎といった目に見える部分に相当します。目に見えない根っこに相当するのが5S活動になります。

 

経営の「根っこ」には違いないですが、成果が見えにくい5S活動を経営に直結するレベルにまで高めていくには、組織的な取り組みと客観的かつ透明性のある評価が必要になってきます。

 
簡単に導入プロセスをご紹介します。

 

① 5Sを推進する体制をつくり、トップ以下、現場のオペレータまで全員参画型で工場改善に取り組む目的を一致させる。

 

② 全員が現場に即して、現場の現状とあるべき姿を認識し、5S活動による現場の改善目標を設定する(全員参加は、現場の「やらされる意識」を払拭する点からも必須の条件)。

 

③ 現状把握をするための評価する仕組みをつくり、レベリングチェックを行う。自社のレベルをトップから現場までが共通認識する。

 

④効果を最大に発揮させるために自社のレベルに合わせたアクションプランを策定し実行する。

 

このような5S活動の手法は、書籍等でも紹介されており、まずは他社の事例をとりあえずマネしてみることも手法の一つです。だからといって、形だけの取り組みは、組織として定着する前にマンネリ化が生じたり、短期的な成果を求めるあまり全体最適が損なわれたりするなど十分な結果を生まないおそれがある点に留意しておく必要があります。

 

今回、説明した5Sの手順は、製造業を前提としたものですが、サービス業においても十分使えます。工場だけでなく、あらゆる職場においても役に立つ取り組みです。

 

自分の身近なところから、「職場内からムダなモノ、スペース、時間を無くす」、「モノや情報を共同利用する方法を考える」、「職場内で異常のない状態を共有し、異常が発生すればひと目でわかるようにする」、「常に職場環境の改善を考える」といった5S的な発想をしてみましょう。実行にまでこぎつけたなら職場全体の管理レベルの向上につながります。

 

このコラムをご覧いただいた皆様、まずは、年末の大掃除をきっかけに整理・整頓からオフィスの5S活動に取り組んでみてはいかがでしょうか。
あわせて、モノだけではなく、時間や情報など、身の回りで気付いたことを5Sしてみると職場環境の意識改革につながります。是非、試してみてください。

 中小企業診断士 アンドウ・ユタカ 執筆者紹介

 中小企業診断士 アンドウ・ユタカ

資金調達や財務分析に長年取り組んできた経験を生かし、「経営で生じた会計・ファイナンスの疑問点をシンプルにわかりやすく解説すること」をモットーに、企業内診断士として活動しています。

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